ファンタスティック・フォー

ファンタスティック・フォー[超能力ユニット] [DVD]

ファンタスティック・フォー[超能力ユニット] [DVD]

宇宙線を浴びて超能力を得た4人のヒーローヒロインと悪漢との戦いを描く。マーベル・コミック映画化。


あー、面白かったなあ。純粋に楽しかったですよ。劇場公開時は「4人のヒーローとしてのビジュアルイメージがイマイチだなあ」と思いパスしてたんですが、こうして観るとそんなことは感じませんでした。この楽しさ、なんなんだろうなあ、と考えてみたんですが、これ、手塚治虫の描く少年向けSFコミックのセンスに似ていると思った。子供の頃に読んでいた手塚の描くSF漫画は驚異と夢と冒険に溢れ、そして判り易く楽しかったものです。なにより丸っこい描線の親しみ易いキャラ。炎男、ゴム男、岩男、透明少女。こう書くと馬鹿馬鹿しいキャラかもしれないけれど、手塚が描いたら少年の胸を躍らせるヒーローへと仕上がっていたはず。


この少年漫画の持つ明快さが『ファンタスティック・フォー』にはあり、例えば同じコミック原作の『バットマン』や『スパイダーマン』が大人の翳りのあるドラマとして描かれたのとは逆に『ファンタスティック・フォー』にはその翳りがない。例えば4人のヒーローヒロインは少年少女の心を持っている、という理由で善の側なんです。それに対し敵役となったMr.ドームは大人の欲望を持つがゆえに悪に手を染める。ですから物語は”純真な少年性”対”汚れた大人”、という実に単純な構造を持っている。子供向けコミックが原作だから当たり前ではあるにせよ、そのてらいの無さで逆に他のヒーローものと違う作品に仕上がっている。しかしアクションやVFXはしっかり作ってあるので、決して子供向けの映画にはなっていない。そして余計な内省や暗さが無い分、童心に帰ったように観ることが出来る。そこが新鮮だった。