フラレた話(その2)

(前回までのあらすじ:ようやく女子を食事に誘った彼女イナイ暦1○年のフモは、意気揚々と乗り込んだその席で衝撃の事実を聞かされる。自我崩壊寸前のフモに救いはあるのか!?)

オレはもう何がなんだか判らなくなってきた。よく知ってる人ってなんだよ、なんなんだよおおおお!!
「相手ってB君ですよ、フモさんといつも仕事の打ち合わせしている。」
…B(仮名)。A子サンと同じ事務所であり、オレがほぼ毎日電話で仕事の遣り取りをやっている男だ。友人というほどでもないが面白い男で、会社でもバカ話をする程度には気さくに付き合っていた。…そのBかよ!?聞いてねーよぉおーー!!
「びびびびBクンかあ、そうかあ、あははは。」もはや成す術も無く棒読みの様な笑い声を上げるオレ。
「あれ?事務所では私たちすっかり噂になってたけど…フモさん…知らなかった?」
知らなかった。全く知らなかった。
いかんせん別事務所、そういった噂は聞いていなかった。ぬかった。完璧なオレの情報収集ミスである。


「今日もちゃんとフモさんと食事に行ってくるから、って教えてありますよ。楽しんで来てね、って言っていました。」
楽しんで来てね、って、Bよ、余裕ぶっこきまくっているじゃないかBよ!
明日会社であいつとどんな顔して話をすればいいんだよおお!


しかしそれにしても、スケベ心てんこ盛りでやっと食事に誘えた女子に、「会社辞めて」「結婚して」しかも相手が「よく知ってるヤツ」だったなんて3個ワンセットで聞かされる男なんざそうそういるだろうか?この息をもつかせぬ矢継ぎ早のコンボ攻撃。格闘ゲームで言えばニーキックで浮いたところを抵抗も防御も出来ないまま連続パンチとワンツーキックでダメージを与えられ、そのまま場外へたたき出されてゲームオーバー、という屈辱以外何者でもない一方的な試合展開である。そう、その日のオレは、文字通り、完敗だったのである。


しかしだ。オレが誘った食事の席。相手はちったぁその気のあった女子である。理由がどうあろうと取り合えずこの席だけはきちんともてなそう。
「わーった!オレの負けだ!こういう時は男らしく、幸せになってくれと言おう!今日は楽しかった…とは言い辛いが、いろいろ喋れたのは楽しかった。元気でやってくれ!」と降伏宣言。相手もなんだか安心したらしく、「ごめんねー、でも私もフモさんと喋れて楽しかったよー」とかなんとか(よく覚えてない)リラックスした様子。
それから暫く他愛の無い会話を交わし、時間も時間だからお開きにするべえか、と思い、二人でレジに立つと、彼女、
「で、フモさん、次はいつ会えるの?」


「…え?」


(またもやフモを翻弄する運命の渦!いったい何が待ち構えているというのか!?フモの運命やいかに!?次回に続く!?)