格子縞の憎いヤツ

会社で。朝移動で車に乗っていたら何か妙に懐かしい歌謡曲が流されていた。ギザギザがハートでどうとかと歌っている。音楽を流しているのは車を運転している『リス男』ことA君らしい。
「なあA君。これは…”チエツカアズ”ぢゃないのか?」とA君に訊いてみる。
「あ、はいそうですが。」
「…何故にチエツカアズなんだね?」とオレ。
A君は二十代半ば、リアルタイムでチエツカアズを聴いていたかどうかは判らない。
「あ、いや、朝手に取ったテープがたまたまこれだったんス…。」
「君のテープなの?」
「そおっスね、中学校のときによく聴いていました…。」
「…ふうん…。」
手を伸ばしたところにいつもチエツカアズのテープがあるんだねA君…。
オレはどんな音楽だろうと人の聴くものにケチは付けない主義だが、二十代半ばのヤロウが流すチエツカアズを四十代のオレが車で聴かねばならないというシチュエーションがあるなどとは金輪際思ってもみなかった。
う〜ん、チエツカアズのヒゲとか河童頭とか顔も思い出せない地味なメンバーの連中は今頃何をやっているのだろう。ボーカルのアレは今アーチストとか自称してブイブイ言わせているようだが、あいつオレと同じ歳なんだよなあ…。ってかなんでオレがチエツカアズの連中のその後の身の振り方について朝から思いあぐねていなければならないんだっつーの。
それにしても、A君、キミ、チエツカアズに憧れてたんだあ。でもこの間はえつくすじやぱん流してたよなあ…。