13のショック / リチャード・マシスン

13のショック (異色作家短篇集)

13のショック (異色作家短篇集)

早川異色作家短編集の四巻目はリチャード・マシスン。…すいません長編読んだ事ありません…。ただこのリチャード・マシスン、名前は結構聞く作家で、それはアメリカのSFTVシリーズ『アウターリミッツ』の脚本作家で、これが『X-FILE』などのTVヒットシリーズの元になったのだとか、『ヘルハウス』など映画の原作本になった作品を手がけていたとか、どちらかというと作家というよりヴィジュアル・エンターティメントの原案者というイメージが強いんだよな。この短編集もSFドラマの原作になったものが多いようだ。
ただ作品の質としては、やはり古き良き時代のSFのものというか、原型的であるために作品のプロットがその後いろんな映画小説に使いまわされていて、この短編集だけ読んじゃうと新鮮味を感じないかもしれない。「これは次元断層だ!」とか「これはタイムパラドックスだ!」とか、お話の流れが四の五の言わずにすぐSFになっちゃうところなんて今読むと微笑ましい。読んでいてなんとなく藤子不二雄のSF短編を連想しちゃったな。
そんななかで面白かったのは『忍び寄る恐怖』。”カリフォルニアは生命体だった!”という奇想天外な着想の元に、アメリカ全土が次第にカリフォルニア(的なもの)に侵略・感染してゆく!という、恐怖というよりもホラ話なんだが、カリフォルニア病に罹った人たちの奇行のようすや、汚染を食い止めるための人々の右往左往があまりにも馬鹿馬鹿しいスラップスティック。『種子蒔く男』はとある町に引っ越してきた”黒いせぇるすまん”みたいな男が巻き起こすパニックの様子を描いた黒い短編。これは今でも面白く読めるかな。