Y十M[ワイじゅうエム]柳生忍法帖(1)(2) 原作・山田風太郎 漫画・せがわまさき

バジリスク甲賀忍法帖』で大好評を博した、山田風太郎原作・せがわまさき画の忍法シリーズ最新作。舞台は江戸時代・寛永19年、暴虐なる主君に謀反を働いたとして惨殺された家臣と一族の仇を打つため、生き残った7人の娘達が7人の仇敵へと復讐劇を繰り広げるというもの。そしてその指南役に迎えられたのは屍山血河の世界に生きる男・柳生十兵衛。十兵衛は兵法すら知らぬ娘達に、恐るべき技を持つ”会津七本槍”と呼ばれる男達への本懐を遂げさせることが出来るのか。
仇討ちを望む娘達に「(あなたたちには)ことごとく死んでいただきます」と言い放つ十兵衛の非情さがいい。そして敵城に侵入しながら小手調べだけして「おれが討つ訳にもいかずあの娘達に討たせるのは骨だなあ」などとうそぶくクールさがまたいい。つまり猛者である十兵衛はあくまで裏方としてしか手を出さず、非力な小娘達にどのように仇を討たせるのか?というゲーム感覚が面白い。前作『バジリスク』では魔人のような能力を持った者達の総力をあげた殲滅戦だったが、今回はいわゆる知恵を使った戦法で相手を潰してゆく戦いになるのだろう。前作同様の残虐な殺戮シーンもてんこ盛り。それと、原作がある、ということで、取りあえずきちんと終わるであろうことがいい。2巻目にして早くも”会津七本槍”の一人に仇を討った娘達。今後の展開はどうなるのでしょう。そして、最後に誰が生き残るのでしょう。楽しみです。