インド家庭料理入門 アーユルヴェーダで食べる朝昼夕飯(その1)

インド家庭料理入門―アーユルヴェーダで食べる朝昼夕晩

インド家庭料理入門―アーユルヴェーダで食べる朝昼夕晩

東インド家庭料理
国際結婚したカルカッタ出身のジョイさんと信州出身の邦子さんによるインド家庭料理レシピ。以前オレの日記のここでインド料理における地域差を調べてみたことがありましたが、この本で触れられているインド料理はジョイさんの出身地から《東インドのカレー》ということになるのでしょう。なんかきちんと調べたものが応用できると我ながら嬉しいなあ。
復習すると、

東インドのカレー(主要都市:カルカッタ
・湿度が高く、蒸し暑い気候。
・川魚を食べる。野菜は菜っ葉類やにがうりなど。
・豆はツール豆、マスール豆など。
・ナッツ類はあまり使わず、けしの実やごまを多く使う。
・酸味はトマト、ヨーグルト。
・スパイスはマスタードシードやフェンウグリークシード。
・主食はお米。三食白いご飯。
・青唐辛子、レモン、塩は必ず食卓にあるのだとか。

ということになります。やはり本の中ではジョイさんの魚カレーに対する偏愛が語られて面白かった。ですからこの本は、正確には《東インド家庭料理レシピ》という事になると思います。
ここではレシピそのものを取り上げることは出来ませんが、本を読んでいて幾つか気が付いた、インドについての先入観の誤りや面白かった話などを抜粋してみる事にします。

■面白話あれこれ
・インドで他の地方へツアー旅行する時には、列車に”専用コック団”が随行
地方によって食文化の違うインド、そして、宗教上の理由からベジタリアンなどが存在するインドでは、ツアー旅行一つにも専用コック団が付き、停車中のホームやホテルでさえ台所にし、ミルクティーから作ってくれるのだそうです。
・インド料理は辛くない
インド人ジョイさんが日本で「10倍辛いカレー」を食べた時はその辛さにびっくりし、「日本人は辛い味が好きな国民」とさえ思ったそうです。インド人もびっくり!ってこりゃギャグじゃないよ。インドではレストランで出されるカレーは「重いカレー」であって、決して家庭料理の味と一緒ではないのだということ。家族の健康を考えると、カレーの味はあっさりした物に落ち着くのだそうです。
・インド、ベンガルの有名人達
アジアで初めてノーベル文学賞を受賞したタゴール新宿中村屋のカリーで知られる革命家ラーシュ・ビーハリー・ボーズ。東京裁判で戦犯達の無罪を最後まで主張したラダビノド・パール判事。アカデミー賞を受賞した映画監督サタジット・レイ。シタール奏者のラビ・シャンカール。多言語国家のインドの国歌はタゴール作詞によるベンガル語によるものである。
・食事は一日に四食
朝食、昼食、午後5時に軽食、夕食は午後9時ぐらい。日中暑いインドでは遊びに行くのは夜が多いのだとか。
・宗派による食事の違い
ヒンズー教徒は主にベジタリアンですが、ビシュヌ神信仰では100%ベジタリアン、カーリー神信仰であれば牛肉以外なら何でも食べていいらしい。逆にヒンズー教徒でなければインドでも牛肉は食べると言う事ですね。
・左手はタブーか?
食器を使わず手で食事をするインドですが、「インドでは左手を使って料理を食べるのは不浄」という風説は誤解で、「自分の口に付いた右手でまた料理の取り分けスプーンを使ったら他の人に不潔」ということで左手を空けておく程度なのだそうです。もちろんインドにも左利きの人もいるでしょうし。物をあげるときは右手というのはマナーらしいです。
・インド料理における”不浄”
これは「他の人が口をつけたもの」。他人の使ったスプーンやコップは勿論、味見に鍋に入れて口を付けたスプーンをまた鍋に入れるなんてのもまずいらしい。日本の鍋物なんかでは考えられないことですね。
・インドのお祝い
「結婚式」と「赤ちゃんのお食いぞめ」が大きなイベントだそうです。今では少なくなりつつあるのだそうですが、インドの結婚式では「娘3人いれば家が傾く」と言われるように結婚式費用は全て娘側持ちだとか。「お食いぞめ」は生後6ヶ月で行われますが、それまで一切離乳食は与えてはならないらしい。
ベンガルの季節は6つ
春、夏、雨季、秋、花の咲く時期、冬。9月から2月が最も過ごし易いそうです。

次回は「アーユルヴェーダ」について触れたいと思います。