- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2005/08/26
- メディア: DVD
- 購入: 5人 クリック: 130回
- この商品を含むブログ (339件) を見る
ファントムの生い立ちは、サーカスから逃げ出した醜い顔の少年で、彼はあるオペラ座に人知れず住み着き、そしてなぜか天才的な音楽的才能を開花させるのである。オペラ座の影の君主のように振舞う彼はしかし、オペラ座以外の世界しか知らない精神的不具者であり、それは彼の顔の醜さ以上に、かれを”怪物”たらしめてしまったのだと思う。しかし”怪物”である彼は、オペラ座の歌姫に恋をしてしまうのだ。そして恋とは人間的な感情であり、”怪物”として生きてきた男に、それは酸のような劇物だったのだ。かくして”怪物"は、恋という人間的な感情のために自壊していく。…こうしてアウトラインだけ書くと、様々な隠喩に満ちた優れた物語で、これを主題として描くなら、『フリークスの悲劇』としてかつてのティム・バートンが描いた映画のような(『シザーハンズ』あたりね)名作に仕上がったかもしれない。また、この物語を換骨奪胎すれば、自分の世界しか知らない”男”と、芳醇な世界を持った”女”との、切ないラブストーリー、悲劇、喜劇、様々なストーリーを創作することが可能じゃないかと思う。そういった面で想像力を羽ばたかせれば、実に面白い骨子を持った物語ではあるのだ。例えば、秋葉原のパソコンショップに巣食うヲタと、エルメスの似合う世俗的な女との出会い…え?電車男!?
ただ、この映画では結局視点はファントムにあるわけじゃなくて、そもそも誰かの心理を掘り下げると言ったものでもない。絢爛豪華な近世ヨーロッパの風俗を現代風にアレンジしたオペラの歌で綴って、さあ凄いでしょう、とコスプレとセットを見せびらかしている以上の映画ではない。そういうのを有り難がたがる皆さんには受けるのだろうが、真性プロレタリアートのオレとしてはどうでもいいなあ、と。
だからファントムの恋敵の伯爵も何を考えてるのか判らない退屈な顔をしたヤサ男で、こんな男に心情的に味方できるわけがなく、かといって簡単に人殺す割には伯爵と歌姫がオペラ座の屋上でいちゃついた挙句キスしまくってるのを隅っこからイジイジ覗き見しているだけのファントムは歯痒くてしょうがない。殺っちまえよ!奪っちまえよ!まあ歌姫自体もオボコムスメ丸出しロリータではあるし、ヲタのファントムには似合ってるかも知れんが個人的にはどうも…。っつーか、歌姫を洞窟の我が家へ連れ去った時に何で○っちまわなかったんだファントム!結構二人盛り上がってたじゃないのあの時!と言うわけで、これは時期を逸すると女を逃すと言う、なにかオレの人生でも思い当たる節というかトラウマが大量に見うけられるような教訓的な物語なのでありました。そうか、オレ、ファントムだったのかよ…。
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント
- 発売日: 2005/06/24
- メディア: DVD
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (24件) を見る