THE お姉チャンプルゥ 〜THE 姉チャン 特別編〜

■その発端

んなもんどうでもいい、と思うことがある。しゃらくさい小理屈を目の前で展開されると、オレは取りあえず「うぜえ」と放り投げてしまう。直截的でないもの、直感的でないものは疑ってかかるか全否定してしまうのだ。実は理解力が衰えているので逆ギレしているだけだ、というのが真実だと思うのだが。
このようなやさぐれたオレにとって、うってつけのゲームが発売されたのである。シンプル2000シリーズ、「THE姉チャン特別編:THEお姉チャンプルゥ」がそれだあぁあ!

■その特徴

「THE姉チャン特別編:THEお姉チャンプルゥ」の4大特徴
1.主人公がお姉ちゃんであるが、何の必然性も無い。
2.お姉ちゃんは水着であるが、何の必然性も無い。
3.お姉ちゃんは刀を振り回すが、何の必然性も無い。
4.お姉ちゃんはゾンビを倒すが、何の必然性も無い。
このゲーム世界を構成するもの、そこには何の必然性も無い。しかし、このゲームではそれがア・プリオリなものとして提示され、プレイヤーはそれがあたかも自明のものであるかのようにゲームをプレイしなければならない。シュールである。シュールと云うよりナンセンスである。色欲と殺戮、エロスとタナトスプラトー状態となったバーチャル空間で(しかし滅茶苦茶な文章だな)プレイヤーはただ己の原初的な衝動にのみ付き従い、その恍惚に酔い痴れながらゲームをプレイするのである。…とまあもっともらしいことを書いたが、要するにバカゲーである。しかしだ。やさぐれている今のオレに必要なもの、それはバカである。そう。自らをロジックの迷宮から解き放つのだぁあ!

■その甘美

「あたしの名前は彩(あや)。
剣の扱いだけは、誰にも負けない
ちょっと変わった女の子よ。」
オープニングの台詞である。”ちょっと”どころじゃねえ、だいぶ変だぞお姉ちゃん!でも、そんなちょっと変わった君がすきなのさグフフ。
このゲームに登場するお姉ちゃんは4人らしい。その内最初に操作できる?のは2人のうちどちらか。カウボーイハットに水着の彩タン。ただただ水着の理保タン。お好みでどうぞ。さてこのゲーム、「シンプル2000」という低価格シリーズのゲームなのだが、ゲーム自体は看板通りシンプルというか単純なのに、お姉ちゃんの胸の揺れだけはそれはそれは丁寧に作ってあるのである。胸を抜かしたお姉ちゃん全体のポリゴン数を100としたら、胸のポリゴン数だけは1000はいっているのではないか。(ホントかよ)構成する世界全体のポリゴン数に匹敵するほどのキメ細やかな揺れなのである。(…だからな、オレの文章はかなり大げさなんだからな、割り引いて読んでくれよお)つまり、このゲーム世界のレゾンデトールとはゾンビ征伐ではなく、まさにこのたわわに揺れるお乳それ自体の存在である、とゲームは、そしてお乳は主張しているのである。

■その優美

攻撃は刀で切りつける他にキックがある。キック。高いヒールの靴で蹴られると痛いぞ。ヒールのみで十分凶器になるからな。しかし個人的には切りつけられるより蹴りつけられるほうが嬉しいよな。オレはこのキックをかまされる時だけゾンビの立場に成り代わり、「ああ!お姉さんの蹴りが!蹴りが!」と歓喜のうめきを漏らしながらプレイするわけだよ。え、「プレイ」だって…。
さらにジャンプキックなんだが、これが「いや、嬉しいけど、そこまで頼んでない」といじらしく目を伏せてしまいそうな、大・開脚・キックなんですよぉおぉ。ああ、お姉さん、そんなに大きく開いちゃったら、あれやこれがあんなことやこんなことになっちゃうんじゃないですかあ!あ・ないですかあ!とまたもや邪(よこしま)な劣情に逆上気味になるオレなのである。

■その妖美

アクションゲームではあるが経験値とLv.UPの概念があり、スキル振り分けで能力を伸ばして行く。だから腕に自信がなければ取り合えずゾンビをぶっ殺しまくって経験値を稼ぐのだ。しかしふと思ったがゾンビは既に死んでいるから「ぶっ殺す」とは言わないのか?
ゾンビをぶった切りまくっていくと返り血を浴びてお姉ちゃんがどんどん血塗れになってゆくビジュアルがナイス!血だ血だ!オデは血を求めてイタンダ!
半裸水着の姉ちゃん+日本刀+ゾンビ+血塗れハァハァ。このモンド感覚溢れるグランギニョール!ハーシャル・ゴードン・スミス*1がゲーム作ったらこんな感じになるんだろうなあ。ああ、タランティーノに見せたい…。
そしてこの血塗れの度合いが増すにつれ、お姉ちゃんは血をポタポタ垂らしゼイゼイと言いながら苦しそうに歩くようになります。実はこれ、戦闘能力に影響しており、返り血を浴びすぎると「穢れゲージ」というのが上がって行くんですね。MAXになると暴走状態になりますが、HPも急激に減って行きます。これにはアイテムで対応します。
あと刀は連続攻撃を続けると肉片と脂でなまくらになってゆく。その為次第に切れ味が落ちて行き「剣の劣化」ゲージがMAXになるとゾンビに剣が刺さったまま抜けなくなり、その間ゾンビにボコにされるんだね。これを防ぐ為「剣のリロード」という動作を行い剣の血を払う。この時の剣から血をザッ!と払うアクションが新鮮。剣戟のアクションゲームはした事が無いから、他のゲームでもあるのかもしれないが、お色気水着姉ちゃんが日本刀の血を払う姿は凛としてカッコいい!これもビジュアルとしてとても成功していると思う。

■その結び

やっぱ変態だな、オレ。
実はいっしょに「ドラッグ・オン・ドラグーン2」も買ったのだが、「お姉ちゃん」と比べるなら価格は3倍以上、開発費は20倍以上掛かっているであろうこの業界最大手メーカー・スクウェアエニックス鳴り物入りの大作ゲームよりも、オレは安物ゲームである「お姉ちゃん」のほうに激しくシンパシーと魅力を感じるのである。
思えばゲームは随分理屈っぽく面倒くさいものになってしまった。緻密なデータを収集:応用して戦略を練り上げるのがゲームの醍醐味だというのはわかるし、かつてオレはそんな風にゲームを楽しんでいたけれど、今はもう少しボンクラになってゲームがしたい。細部まで完璧に作り上げられ、お膳立てが全て整った「作品」みたいなゲームはどこかに「鑑賞させられている」匂いを感じる。なんか疲れるのよ。それよりも「お姉ちゃん」の、破綻し、衝動と劣情のみで構成されたスッカラカンのリビドー宇宙のほうが、オレには風通しが良くて心地よい。ゲーム史にもゲーム資本主義にもなんの名も功績も残さない超C級のこのゲームを、オレはココロから愛している。そして、姉ちゃんのお乳の揺れ具合も。ぼよ〜んぼよ〜ん。
公式HP:http://www.d3p.co.jp/