心はタマオ

そのもうほうU改めジョイトイUが、時々変なポーズを取っているのである。見たくはないのだが目の端に映るのである。呆けたようないつもの「にへら」とした笑みを浮かべ、招き猫みたいに手を上げている。オレは全く関わりたくなかったのだが、もうウザくてウザくてしょうがなかったので、「おいコラ。あにやってんだよ。」と訊いてしまう。
するとU、待ってました、何で早く聞いてくれないんだよう、とでも言いたげな満面の笑顔をオレに向け(向けんなオラ)、「タ・マ・オちゃんですよお」とのたまうのである。
「…玉男がどうしたんだよ。タマオトコがそんなに好きか。」とオレが言うと、
「違いますよぉ、さとう珠緒ちゃんですよおぉおぉ」と、あたかも炎天下のアスファルトのミミズのように激しく身をくねらせながら言うのである。
「はぁあぁ…」空気の抜けたゴムボールのような激しい脱力感に見舞われてオレは答えた。
さとう珠緒っすか…。「プンプン」「ショボボーン」ですか…。いや実は嫌いじゃないけど、Uと被るのはいかがなものかと…。ただでさえ使用している部分の少ないオレの脳みそをまたもや下らない情報で使用してしまった事にオレは激しく萎えるのであった。
見るとUはさらにもう片手も上げ、「両手招き猫状態」でルンルンとしてるのであった。
Uよ、体は男だが、心はさとう珠緒なんだな…。それはいいから、オレの下らない人生をこれ以上下らなくさせないでくれ…。そして今日も虚無感に満ちた長い一日になりそうな予感に、早くも絶望的な気分をおぼえるオレであった。