ツイステッド・フェアリー・テールズ

マクファーレン・トイズからの新作フィギュアはMONSTERS:SERIES.4「TWISTED FAIRY TALES 」である。《歪んだ御伽噺》といったところだろうか。これまでも、「オズの魔法使い」がシリーズとして発売されたが、タイトルから想像するキュートさなど微塵も無い、怪奇で淫靡でグロテスクな造形だった。このシリーズは他にも、「ラスプーチン」「ブラド・ツェペシュ(串刺し公)」「アッチラ大王」等、実在した歴史上の殺人鬼達をモデルとしたフィギュアなども発売されている。

その主たるモチーフはボンテージ、SM、畸形、猟奇殺人、死体、怪物だ。有名な童話、ファンタジーをどこまでもネガティブでエロティックで死臭に満ちた造形へと変容させたその作品群は幻想的で凄みがある。
そして今回の作品の主たる題材は「グリム童話」「マザーグース」。これら有名な童話がマクファーレンの手によっておぞましい血塗れの恐怖譚として語り直される。それではそれぞれフィギュアを紹介しましょう。

「ヘンゼル」&「グレーテル」…お菓子の家へ迷い込み、魔女によって監禁され、畜肉として飼育されることになった哀れな兄弟。(グリム童話)ここではヘンゼルは知能障害かはたまた怪しげな脳外科手術を受けたかして、呆けた顔に狂気の表情を浮かべ、小さな檻に閉じ込められ吊るされている。一方のグレーテルは、これは網タイツにピアスのパンクなルックス、はち切れそうな胸元を大きく開け、冷ややかな顔でモップ掛けをしているのだが、そのモップが拭くものは夥しい量の血溜まりなのだ。

「赤頭巾ちゃん」…(グリム童話)真紅のフード付きマントを着た女のマントの下は、黒い下着とボンテージ風ブーツのみ。裸族が施すようなタトゥーを全身に散りばめ、目元には仮面舞踏会にでも出掛けるような淫蕩なマスクをかぶせている。豊満な肢体は死の官能に打ち震え、その手に掲げられた狼は既に息絶えてるのかぐったりとしているが、その腹部は切り裂かれ、鮮血にまみれた臓物と、狼の餌食にされたものと思われる人間の食いちぎられ、消化されんとしていた死骸が垂れ下がっている。(…多分赤頭巾のおばあちゃんでしょうね…)

ハンプティ・ダンプティ…堀の上に座っている卵。塀から落っこちて元に戻せない(マザーグース)。御伽噺のおどけ者も、マクファーレンの手にかかれば腐敗で巨大に膨満した生きた腐肉の塊として描かれる。狂気に輝く目と歪んだ口もと、そして腐れきった体からは臓物がはみ出し、無数の蛆虫や食肉虫がその体にたかり、溶け崩れた甘い脂肪と血膿にまみれた腐肉を美味そうに貪っている。

「ピーター かぼちゃぐい」…カボチャの中で奥さんを養う男、カボチャ大好きピーター(マザーグース)。”どうすればいい 僕はかぼちゃが何より好き どうすればいい 僕は女房が何より嫌い 女房をかぼちゃに押し込んでしまえ!”こでは彼は猟奇殺人者だ。殺戮の為にのみ獲物を引き裂く狂ったけだものだ。彼の持つふざけたハロウィンのカボチャは料理でも盛り合わせられるようにくり貫かれているが、その中に押し込められているのは無残にも屠殺されバラバラに引きちぎられた美しい少女の哀れな手足と生首である。

「マフェットお嬢ちゃん」…蜘蛛に襲われるマフェットお嬢ちゃん(マザーグース)。”リトル・ミス・マフェット 茂みに座っておやつのチーズを食べてたら そこへ大きなクモ が来て 隣へ座った びっくりおどろいて リトル・ミス・マフェット 逃げ出した”。このような牧歌的な童謡が、「巨大人食い蜘蛛に今まさに引き裂かれ餌食とされるボンテージの女」になっちゃうんだから凄い。しかもボンテージ、ピンク色だし。これ、絶対今回のシリーズの「オチ」だな。


ってか実は会社で暇見てこっそりこの文章を打ってるのだが、仕事中に「淫靡」とか「腐肉」とかいう単語使ってるオレも相当なもんだよなあ…。グヘヘ。

McFarlane's Monsters Series 4:Twisted Fairy Tales :
http://www.spawn.com/features/monsters4/