デビッド・ボウイ・リバイバル その4

さてアメリカを捨てヨーロッパへと渡ったボウイ。この頃作ったアルバム《ロウ》の私見ですがここで書いたので割愛します。「ロウ」に続きボウイには珍しく全く同じコンセプトの作品《ヒーローズ》が製作。丁度この頃から、オレはリアルタイムで活躍するボウイとリンクする。それまでは新譜が出なくて、過去の作品とか当たってたんですね。《ロウ》《ヒーローズ》は霜の降りたような暗く冷たいシンセサイザー音が当時住んでいたオレの田舎の冬の光景とあまりにマッチしまくっていたので、よく聞いてました。冬は、雪のせいで地面は白一色。そしていつも曇天の空は灰色一色。朝から晩までモノトーンの世界と、ボウイの作った底冷えするヨーロッパの淋しげな情景を描写した音楽はどこかで通じていた。また、この当時ボウイがプロデュースしたイギー・ポップ《愚者》も、《ロウ》を伺わせるエレクトリックで変態的にうねるマシーン・ビートと奇妙にパラノイアックなイギー・ポップの歌声が、やはり都市の暗さ、冷たさを表現していて、ある意味これも《裏ロウ》ともとれる傑作なので、興味ある方はどうぞ。
さてその後作られる《ロジャー》はベルリン3部作のラストとか言われるけど、《ロウ》《ヒーローズ》とはあまり接点がない。バラエティに富んだ曲調、様々なリズム形態。でもとっ散らかりすぎて散漫な印象かも。緊張感も薄い。しかしアルバムタイトル「ロジャー=間借り人」から判る様に、世界の根無し草人間であることをボウイ自身が宣言した作品でもある。
次のスケアリー・モンスターズロバート・フリップの参加により凶暴且つ神経症的な一大ハードロックアルバムへと出来上がっている。また、R・フリップのキャリアの中でのベストプレイも、実はこの「スケアリー・モンスターズ」の曲なのだ。傑作が多いアルバムだが、面白いのは「アッシェズ・トゥ・アッシェズ」という曲である。これは彼の初期の名曲「スペイス・オディティ」の登場人物「トム少佐」が単なる麻薬中毒患者であり、全ては幻覚だったという苦々しいオチについての歌である。
このアルバムでもってボウイは自らのキャリアに一段落つける。この後、ボウイはレーベルを移籍し、大ヒット作《レッツ・ダンス》を世に送り出すが、実はこのアルバム、それまでのボウイファンの総スカンを食ったという、裏切り行為に近いアルバムだったのである。
《続く》

Low

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Heroes

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Lodger

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Scary Monsters

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Idiot

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