何故愛してはいけないの

雨降りの曲をもうひとつ。80年代ニュー・ウェーブの異端児だったブロンスキー・ビートの1stアルバム、「Age of Consent」。ブロンスキー・ビートは実はゲイ・バンドだった。「ゲイだという理由だけで何故人を愛してはいけないの?」という苦しみと悲しみに満ちた歌詞をデジタル・ビートに乗せて歌っていた。兎に角ボーカルのジミー・ソマーヴィルのファルセット・ヴォイスの歌声が良い。胸に突き刺さるような彼の悲嘆に満ちた歌声を聴けば、ゲイ差別がいかに間違っているか誰しも気付くだろう。愛すると云う事が価値があり素晴らしい事なのだというのなら、ストレートであろうとバイであろうとそれは等しく甘受できるべきであり、人を愛する気持ちに変わりは無いではないか。彼の歌声はそう語っている。
雨降りの曲、はRimixアルバム「Hundreds & thousands 」に収められていた「Hard Rain」という曲。暗く重いシンセの音に悲鳴のようにも聴こえるジミー・ソマーヴィルのファルセット。絹の裂けるような声、というのはまさしくこの声なのだと思う。「あなたには何が出来るの?」と問いかける曲のラストは鳥肌ものです。
歌詞の内容自体は政治的なものであり、戦争について歌ったもののように思えるが、この社会で差別を受けたことがある者が、民主主義に不信と疑問を感じ、それがいつでも容易くファシズムへと変貌する不安を感じとるのは当然の帰結かもしれない。現在このアルバムの曲は1stアルバムにカップリングされている。
(ここで全曲が聴けます:http://www.stereosociety.com/hundreds.html

The Age of Consent

The Age of Consent