ヘルボーイ (2004年 監督・ギレルモ・デル・トロ)

気に入りました。とても面白かった。
ナチのオカルト結社の実験により冥界から迷い込んでしまった魔物の子供、ヘルボーイ。成長した彼は超常現象調査局BPRDの仲間たちと一緒に、地獄から蘇った魔僧ラスプーチンとナチ残党の陰謀と戦います。
まず最初のナチの実験シーンからおどろおどろしくてよい。ラスプーチンはもとより、彼の愛人でありナチ将校イルサ、ナチの殺し屋でオカルト教団の会長でもあるクロエネンの凶悪さがイイ!金髪の女ナチ将校、ってだけでもうオレ的にはツボ入りまくり!ハイヒールで踏まれたい!そしてクロエネン!既に人間じゃない!両手にブレードをはめ込みばっさばっさと相手を切り刻む。
成長後のヘルボーイの仲間たちがいい。半魚人のエイブ・サピエンは姿形やコスチュームがどちらかというと宇宙人ぽくってカッコいい。そしてヘルボーイの片思いの少女、“念動発火”の能力を持つリズ・シャーマンのルックスがいい!黒髪に暗い輝きを持った黒い瞳、憂いを帯びた表情、モンスターに愛されるだけあってゴスでサブカルでOTAKUな匂いのする魅力的な超能力少女だ!アキバ系よ萌えろ!
そしてもちろんヘルボーイの楽しい魅力。はっきり言って単なるゴリラ!魔物のクセして得意技はただただぶん殴る!ぶん殴る!単純で粗雑、深いことは考えない、事件は取り合えず暴力で解決する!コスチュームのトレンチコートと拳銃なんかから類推するに、これ、60年代パルプ・フィクションダシール・ハメットあたりのハードボイルド探偵小説を踏襲したスタイルなんだと思いますよ。すなわちヘルボーイはオカルト探偵、ってことなんですね。
それになにしろ、アメコミヒーローにしては珍しい人間臭い性格とコミカルなキャラがイイ!BPDRにいるときにはぶっとい葉巻をくゆらせ、大鍋何杯分ものチリを食いながら、ソウル・ミュージックに親しみ猫たちと遊ぶ。で、淋しくなると研究所の壁をぶっ壊して好きな女に会いに行くんですよ。なんか、物凄く可愛いヤツじゃありませんか!
それに物語の大筋は、冥界の星の海に眠る混沌の7体の神“オグドル・ヤハド”を現世に光臨させ世界を破滅させよう、とする陰謀を巡るものなんですが、この“神”のタコとナメクジを掛け合わせて巨大化させた様な有様はモロ、クトゥルー神話の化け物じゃありませんか。いいなあ。
監督のギレルモ・デル・トロは「ミミック」の時は暗くてパッとしない作風だったけど、「ブレイド2」やこの「ヘルボーイ」ではポップなセンスを入れることで成功してますね。ヘルボーイ続編希望!
また、原作のマイク・ミニョーラは、アメコミ界でも特異な作風を持つ孤高の作家で、そのコントラストの強いゴシックテイストの描画と強烈な原色使いで、怖ろしくソリッドな画面構成の作品世界を展開する人で、オレなんかもファンでした。彼を支持する日本のアーチストとして韮澤靖や寺田克也などが挙げられますが、今回の映画にも何がしか参加しているらしいです。ヘルボーイのコミックは日本では現在入手が難しいらしいですが、10月30日にジャイブ・コミックスから新刊「ヘルボーイ:妖蛆召喚」が出るようです。気になる方はチェックを。http://www.jive-ltd.co.jp/americancomics/comics.html。他に現在入手できるヘルボーイのコミックはこちらで。http://www.planetcomics.jp/event/hellboy/shoprobooks/index.html