電話をする

会社のY嬢が書記をした会議の議事録が回ってくる。事務所が変わったので暫く顔を見てないが、手書きの字が彼女の美女振りから想像できない稚気と独創性にとんだ字で、つい懐かしくなって電話する。「FUMOです。議事録見たんだけど。」「えっ!FUMOさんの所まで議事録回るんですか!」「相変わらずアブストラクトでシュールな字だなあ。君の事を今日から一筆書きダダイストと呼んであげよう」「字のことは触れないで下さい!忙しかったのよ!」などと暫くからかう。そして「仕事の用事で電話したわけじゃないんだ。君の字をからかうのはオレのライフワークなんだ。」と言って呆れられる。
電話を切って暫くしてから今度はY嬢のほうから電話が掛かってくる。「ねえFUMOさん、私髪切ったのよ。」「へえそうなの?」「凄いいっぱい切ったんだ、今ショートなのよ」オレの知ってる彼女は長い髪してたよなあ。「そんなに?」「ウン、前から切りたかったんだ」「…ねえ、なんかあった?」「なにもないよ」「…なんかあった??」「なにもないってば!」「今度見にいくよ」「来て来て」「ああ、でも面倒だから写真送ってよ」「ヤダよ!FUMOさん絶対変なことに使うもの」「変なことってなんだー!言ってみろ!」「変なことだよ!」とかいってまた訳の判らない盛り上がり方をする。「ええと、それだけなんだ、またね。」なんだ、“仕事の用事じゃないんだけど”返しかよ…。