Martin Parr

Spezial FOTOGRAFIE Portforio No.36 
マーティン・パーはイギリスのベテラン・カメラマン。フリー写真家出身だったせいか写真にも独特の「現場」な匂いがします。セルフ・ポートレイトを見ると食えなさそうな中年男。切れ者というより叩き上げ。この写真集ではドイツ、イギリスを中心とした世界のあちこちの人々の生活の一場面をスナップショットに収めていますが、イギリス人だけあって作品にも微妙な毒と意地悪さが見え隠れするし、題材もやはり微妙に下世話。だけどこの下世話さが一般大衆のリアリティを遠慮会釈なく直接的にカメラに写し取っていく。余計な情緒性は皆無。「これが幸福なのかい?」という作者の皮肉な問い掛けが聞こえてきそうな作品が多いです。しかし写真そのものはテーマが明快で判りやすく、力強いし美しい。アーチストというよりも職人、でもその男性的な慇懃無礼さ、繊細さを笑いものにした図太さふてぶてしさが逆に痛快だったりするところがまた面白い。たぶん本人は嫌なオヤジなんだろうなあ、とか、嫌なオヤジのオレが思ったりして。そして実は海外では評価が高いのです。
オフィシャル・サイト : http://www.martinparr.com/