よもやま話・CGと特撮について

で、あとは余談。
シモーヌ」ではCG俳優だけの映画は可能か?とか言ってるけど、いや、ありますよ、日本の誇るCG映画「ファイナル・ファンタジー」が。興行成績も作品の出来もクソミソなことになってる映画ではありますが、オレ、そんなに嫌いじゃないのよ。だってさ、いつか、誰かがやったんだよ、こんな映画を。
今はフルCG映画というとピクサーとかドリームワークスあたりのアニメになるけど、いや、どれも大傑作だとは思うけどさ、好きだけどさ、でも、あの百花繚乱な原色使いと実に大雑把なシェイプをしたキャラクターを見てるとさ、なんかやっぱり疲れるんだよ。オレはアメコミとか嫌いじゃないから、ああいうカートゥーンのセンスは判らないでもないけど、それでも、子供向けのキャラを作らせたら、日本って世界一なのかもしれないなあ、とかちょっとだけナショナリズムに目覚めちゃったりするよ。
結局、映画「FF」が何が拙いったって、最高のテクノロジーで生み出した最低の大根役者だったって事だろ。つまり演出がなってなかったと。でもこれ、結果論としてはいえるけど、作ってる最中には、最高のテクノロジーと最高の才能があれば、最高のものが出来るって、皆思ってたと思うんだよ。でも忘れてたんだよ。最高の俳優にブッキングするのを。
映画「ジュラシック・パーク」はCGを使ってヒットした映画としてエポック・メイキングな作品あり、これを観てキューブリックが「A.I.」の製作に踏み切ったって言うぐらい画期的な映画だったんですよ。オレも度肝を抜かれましたよ。実はこの「ジュラシック・パーク」は最初ストップ・モーションないしゴーモーション*1と呼ばれるコマ送り撮影で恐竜の特撮を製作しようと考えていたらしいんですよ。でもCGの可能性に気付いたスピルバーグが急遽恐竜をCGモデルで製作することにしたわけですね。しかし、その時、最初にストップ・モーションを手掛けるはずだった特撮技術者フィル・ティペット*2に、スピルバーグは「CGの恐竜の動きを監修してくれ」と頼み込むわけですね。
命の無いものを「動かす」ということの監督。これがこの時のフィル・ティペットだったんですよ。「ジュラシック・パーク」のDVDの特典映像*3に収められた彼の「アニマティックス(テスト映像):食堂のヴェロキラトプス」は、ミニチュアで製作されていますが、その「動き」による恐怖感溢れる演出はフィル・ティペットが居なければ成り立たなかったのかなあ、と思った。
ちなみにジュラ2では参加していないらしいけど、これが、1と2の面白さの違いなんだと思う。

*1:語義についてはこの辺で参考にhttp://www.asr.co.jp/user/nobo/bk/bk05.html

*2:プロフィール:http://www.generalworks.com/databank/movie/staff/ptipp.html

*3:これに限らず、スピルバーグ作品のDVDの特典映像は「映画を観ること」「映画を作ること」の助けになる映像三昧で、観るといろんな意味で参考になりますよ