マッハ!

…すげえ。
凄い映画でした。第二のブルース・リーが誕生するまさにその瞬間に立ち会ったんだな、と思いました。悪いけどジャッキー・チェンは超えてるな、と思いました。タイの誇るアクション・スター、その名はトニー・ジャー
ムエタイは日本のキック・ボクシングの原型にもなったタイ独特の格闘技。映画では猛禽類のように宙を舞い、足と膝と踵を使った打撃で相手を叩き潰します!なにしろ狙う場所は首筋、そして脳天!この二点をこれでもかとばかりにピンポイントで強襲します!これら急所にヒットする瞬間はあたかも肉食獣が獲物の首筋の頚動脈目掛けて確実に牙を立てる瞬間に似ています。一撃一殺です!そう、この時主人公は本当に野獣と化しているのです!
この映画では、この必殺の一撃が本当に入っちゃってるんです。痛いです。痛そうです。敵は本当にぶっ飛びます。そして主人公は空を飛びます。本当に飛ぶんです。この映画はワイヤーもCGも早回しも一切していないと宣言しています。宙を舞ったまま相手にワン、ツーと二撃は入ります!「おお」「すげえ」劇場内は観客の感嘆の声で騒然でした!
オレは本当のところ、格闘技は好きじゃありません。*1本当に強い、ことなんてどうでもいいんです。これは映画です。ムエタイが格闘技としてどういうものなのかは知らなくとも、この映画がムエタイという武術の使い手を、力強く、美しく、向かうところ敵無しに描いていれば、つまりエンタティメントとして面白いものに作り上げていれば、オレは「ムエタイすげえ!」と素直に感動し、興奮できるんです。しかし、それをリアルに表現する為には、高度なスキルを持った俳優がいなければ話になりません。そしてそれを可能にしたのが、新たなるスター、トニー・ジャーだったわけです。
そしてもうひとつの見所はタイという国の風俗、自然、街並み。そしてこの国で暮らす人々の表情。こういったものも一つの体験として観る者に強い印象を与えると思います。少なくともオレはこの国が少しだけ好きになりました。

*1:でもね。オレ、「バーチャファイター」という格闘ゲームは本当に本当に好きでした。1〜4ずっとやり続けて、そしてサラというキャラクターをずっと使っていましたが、「愛」に近いものをゲームに感じてましたね。自分の分身がここにいる。まさにヴァーチャルなゲームでした。