The Fourth Sex: Adolescent Extremes/Francesco Bonami (著), Raf Simons (著), Maria Luisa Frisa (著)  ASIN:8881584042

ファッションデザイナー、ラフ・シモンズと、現代美術のキュレーター、フランチェスコ・ボナミがコラボレーションしてフィレンツェで開いた展覧会「THE FOURTH SEX」のカタログ。タイトルの「第4の性」は男性、女性、ホモセクシャルに対して「青少年の時期」を指し、「男性でも女性でもない独特のもので、彼らへのオマージュ」と説明されている。 http://ginandit-ld.hp.infoseek.co.jp/book.html#book
ラフ・シモンズ:デビット・ボウイにインスパイアされた、少年のナイーブさとそこから生み出される力強さをロックを通して表現するという手法が、活動再開後もラフ・シモンズの人気を支えている。 http://www.tsushin.tv/brand/paris/raf.html
ラフ・シモンズが服作りを通じて示していきたいのはこの「Fourth Sex」のことであり、モチーフとして使っているロックは少年の衝動の象徴である。本の中ではヴェロニク・ブランキーノも扱われており、彼女が扱う無邪気でそして残酷さ・妖艶さを内包した小悪魔的な少女は、その少女側からのアプローチになるのかもしれない。ディオール・オムエディスリマンについても、モデルに少年を使うのは近いものがあるらしい。http://blog.tsushin.tv/yoshua/archives/000681.html

ラフ・シモンズというデザイナーの事はオレは知らない。しかし「デビット・ボウイにインスパイアされた」という説明だけでなんだか十分理解したような気分になる。
この写真集はこのデザイナーのカタログ本等ではない。多分彼が洋服をデザインする際にインスパイアされる様々なメディア上の写真・映像を1冊の本に凝縮したものである。もちろんファッション関連の写真が多いが、その他の写真ではそのごった煮感は凄い。映画の1場面だけでも「アキラ」「ヘザース」「タクシードライバー(のジョディー・フォスター)」「バージン・スーサイド」「オーメン」「ドニーダーコ」「アメリカン・グラフィティ」「クリスチーナF」である。しかし天安門事件の映像や自動小銃を構えるI.R.A.の女達や、パトリシア・ハーストの逮捕写真*1など、ジャーナリスティックな興味もあるよ、といった写真もちらっと。でも一番気に入ったのはシド・ビシャスの蝋人形の写真。アートよりもポップ/ストリート・カルチャー寄りな趣味は取っ付き易い。奇妙に親近感を感じさせるセレクトです。

*1:え?この人この後女優になっちゃたの?「セシル・B シネマウォーズ」って見てるよオレ。http://www.ainoue.com/ai/71-80/79patricia.html