MICHAEL JACKSON/NUMBER ONES (DVD)ASIN:B00013YS22

買っちまっただよ…。マイコーのビデオクリップ集・ナンバーワンズ。
最初に言っておくと1、マイコーの全てのビデオクリップが網羅されているわけじゃない2.マイコーのビデオクリップは物によってバージョン違いがあり、このDVDではほとんどショートバージョンが収められている、というのに注意。それでも15曲ものマイコーの超有名曲をノンストップで観れるのは余りにも魅惑だ…。
ところで実はワタシはマイコーのファンて訳ではなく、CD なんか1枚も持ってない。ソングライティングは間違いなく優れていると思うが、オレの趣味じゃないのだ(でもムーンウォーカーを昔劇場で観たぐらいだからビジュアルセンスは好きかも)。どちらかというと昨今のマイコー騒ぎを面白おかしく見ていた口である。TVでやってた「マイケル・ジャクソンの真実」とかさ(あれ面白かったなあ)。ネットで出回ってる「顔面が崩壊していくマイコーの画像」とかさ。
しかしだ。オレは逆にそんなマイコー騒ぎを見るに付け、「優れていることは認めるが趣味じゃないポップスター」から「天才肌の音楽家が天才ゆえに崩壊してゆく闇の部分」へと俄然興味が増してきた。
天才は俗物なんかよりも過剰な部分が多いものなのだ。だからこそ俗物には思いもよらない表現ができるのだし、また、俗物はその過剰さを体験することによってこの日常を飛び越えることができるんだ。でもその過剰さが一歩間違うと、とたんに俗物の理解を超えてるというだけで袋叩きにあい、奇行とよばれ嘲笑される。俗物って存在もひとつの「悪」なのかもしれない。
それにしても、改めてPVを観たけどさ。あんなゴシップ話で笑って終わらせられる男であるはずが無いよな、マイコーは。今更わざわざ言うことじゃないけど、凄いよ。ポップスターとして完璧だよ。20世紀の音楽史には残る男だろ。確かアルバム「スリラー」は全世界で4600万枚売り上げてギネスに載ったとか言ってたな。これは世界中の、宗教さえ異なるあらゆる国、人種、年代、の中で受け入れられたって事だろ。アントニオ猪木が中東紛争を解決しに行くみたいなもんだよ。ちょっと違うか。かなり違うな。
なにしろ、マイコーの音楽、そしてダンスは判り易い。理解する為のスキルがいらない。にも拘らずやってる事のスキルが極限まで高い。例えば同じブラック・ミュージックの天才にスティービー・ワンダージェームス・ブラウンなんかが居るけど、ほんのちょっと音楽的な理解力、あるいは肉体的な同調性(「乗り」の理解ってことね)が要る。つまり子供には聴けない。でもマイコーはそこを軽々と飛び越えたところに居る。ある意味これは取っ付き易いPVのせいなのかもしれない。(オレなんか逆にスティービー・ワンダーって退屈で聴けない)
このDVDを観るとミュージックビデオってのはマイコーの為に発明されたとさえ思えてくる。セガメガドライブマイコーが主人公のゲーム「ムーンウォーカー」を生み出す為だけに存在してたとしか思えないように(ある意味超傑作ゲームなんだぜ)。*1
最後にマイコーのゴシップについてちょっとだけ。マイコーは完璧主義者だったんだよ。でもマイコーはあっちを完璧に、こっちを完璧に、とやってく内に、「所々は完璧だけどトータルとしてはちぐはぐ」というドツボに嵌まったんだと思うよ。可哀そうなマイコー。誰かが彼に、「もういいんだ」とか「僕は逃げてもいいんだ(ってシンジくんかよ!)*2」とか言ってあげれば良かったのに…。やっぱり、天才って孤独なんだね。
ところで会社の「こ」(女子)にオレが「マイコーのDVD買った」と言ったら「変態同士で気が合うんですか?」と言われてしまった…。オレは奇面組かよ…。これだから女って奴は…。

*1:しかしそれを言い出すとファミリーコンピューターは「バンゲリングベイ」を生み出す為だけにあった、とも言えるし、PC98機はエロゲーを生み出す為だけに存在した、とも言えるし、3DOは「Dの食卓」の為だけにあったというのは事実だし、スーファミはオレと「ダンジョンマスター」との運命の出会い、その後の洋ゲー狂いを生み出す為に存在したともいえる。

*2:だから誰かが彼にエヴァンゲリオンのDVDを観せてあげればいいんだよ。多分あいつ嵌まるんじゃないかなあ。親父との葛藤なんてマイコーの人生とエヴァと被りまくりなんじゃないの?