GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 〜そして「イノセンス」へ

やっと届いた
Amazonから「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」のDVDがやっと届いた。Amazonって配送早いんだが、都内在住のワタシの所でさえこんなに遅れたってのは相当予約が入ってたって事かしらん。AmazonのDVD売り上げランキングでも10位。これは結構凄いことだ。何が凄いってこの作品が製作されたのが1995年。何度もLDやビデオやDVDなどにメディアを変えて再発されているのに、今回の発売でもAmazonで10位。2月25日の発売あと、しばらく量販店でもDVDショップでも見かけることがなかったぐらいだ。続編である「イノセンス」の公開が控えてることもあると思うが、予想以上に売れているのではないか。
なぜこんなに売れているのか?オレはどうもたった一つのことしか考えられない。
今までの値段が高すぎたんだよ。

日本のアニメDVDの値段は高い!
今回は廉価版ということで¥3800で発売されているけど、その前の値段が¥9800。さらに最初に発売されたLDサイズBOX入りDVDは廃盤という事で価格は確認できないが、多分もっとしたのでしょう。¥9800ですよ、アナタ。特に付加価値もないのであれば、買うのちょっとためらう値段と違いません?というか、そもそも日本のアニメのDVDってどれもこれも馬鹿高くないですか?30分しか収録されてないOVAが¥5000弱、これが続き物だと例えば全10巻だと5時間収録されて5万円ですよ5万円!「ロードオブザリング」の1と2をスペシャルエディション版で買っても6時間収録で2万円ですよ!
もちろん作品の内容は上演時間じゃないことぐらいわかりますよ。でもOVAアニメって物によっては「これは紙芝居なのか?」と疑っちゃうほど動きも何もない、それこそ静止画のカット繋いでストーリーが進行している、なんてとんでもない代物があるじゃないですか。そもそもアニメーションって生気を与えるって意味でしょ。紙芝居でどうするんですか。こんなんでいいのかよ!責任者出てこーい!とか吼えたくなりますよ。
ちょっと吼えさせてください
実の所、こんなアコギな商売しといてもマーケットが成り立ってるってのは、購買層であるアニメファンが太っ腹で、どんなアニメでもある程度売れ行きが安定しているからなんですかねえ。ただ、これらのOVAアニメはアニメファンのためのアニメって感じがして、所詮閉じた世界で商売しているような気がするなあ。
この「GHOST IN THE SHELL」だって、「アメリカでビデオの売り上げがビルボードで1位!」とか言ってますが、じゃあ日本で、このアニメ見たことあるって言う人がアニメファン以外でお友達にいますか?
いや、この作品のクオリティを「所詮アニメファンのためのアニメ」なんて言ってる訳じゃないんですよ。ジャパニメーションがどうとか、弘兼憲史がいくら「日本がこれから世界に発信できるのはアニメや漫画、ゲームなどのソフトウェアなんですよ!」とか声高に言ったって、肝心の日本での受け止められ方って、結局「ガキとオタのもの」じゃないですか。そういった認知のされ方をほって置いて、儲かるからって理由だけでこれからはジャパニメーションだ、とか言う奴って虫唾が走るんですよ。
そういえば今日、アニメファンでもなんでもない会社の「ヤ」女史(美形)と話していたら、アメリカ留学中は「アキラ」のビデオを買ったことがあるし、アメリカでは誰でも結構普通にアニメを見たりアニメの話をしたりするけど、逆に日本に帰ってきたら、アニメって妙に特別なジャンルみたいに扱われてるし、アニメ好きな人は色眼鏡で見られてるし、アニメが有名な国のはずなのに不思議だった、と語ってました。
ところで押井守って大丈夫なのか?
そんなわけでやっとGHOST IN THE SHELLの話に戻りますが、エエト、皆さん、
押井守作品って本当に面白いと思ってますか!?
いや、うる星やつら2 ビューテイフル・ドリーマー は傑作だなあ、と思いましたよ。機動警察パトレイバー はよく出来てると思いますよ。
ただ、機動警察パトレイバー2 the Movie って…やたら理屈っぽくなかったですか?で、このGHOST IN THE SHELL…もう、輪をかけて理屈っぽくなってませんか??登場人物の独白を延々訊かされて辟易としませんでしたか?なんかこう、冗談が足りないって言うか、抜けが無いって言うか、皆が皆眉間に皺寄せて鬱々とした顔でブツブツ喋ってる、押井の作品ってなんかそういうのが多くないですか?
いや、本当はパトレイバー2もGHOST IN THE SHELLも傑作だと思ってるし、難解な言葉を使って作品を評価するのが好きな人たちの絶賛の仕方も、結構正鵠を得ていると思うんですよ。ただなんかこう、見終わった後に、理屈で煙に巻かれたような、どっちつかずのイヤーな気分が残るんですよね。
会社の「あ」クンも「押井は屁理屈が多すぎるんだよ!」と吼えてましたが、実は「あ」クン、こんなことを言ってますが「天使の卵」のDVD買って持っているという親にも言えない業病のごとき恐ろしい秘密を抱えてます。そしてワタシといえば劇場で「赤い眼鏡」を見たことがあるという、これまたあまりに暗く辛い過去を背負っているのです。ああもう語るも涙って位、サイテーの映画でしたよ。

あれほど鳴り物入りだった「Avalon」、あれ本当に面白かったですか?押井がヨーロッパに戦車見に行く口実を作るために作った映画でしょ、あれ?
そうです。押井という男は実は自己満足の頭でっかち野郎なんじゃないですか?たまたま理屈で煙に巻くのが巧いからここまで生き残っちゃった詐欺師野郎なんじゃないですか?押井守公式サイト「ガブリエルの憂鬱」行ってみました?http://www.oshiimamoru.com/あそこでは彼の過去恥部である「天使の卵」も「赤い眼鏡」もなんだか存在しないもののごとくに扱われてるんですよ。大体なんだよ、「立ち食い師」ってよー!つまんねーんだよ!
ここまで言って何なんですが
ええ、判ってるんです。次作「イノセンス」がまたまた例のごとくへ理屈の独白と強引な空論の羅列で埋め尽くされているのは。これは、不安とかではなく、現実にこれから起きることであり、僕らの身に降りかかることなんです。
 でもそれでもやはり「イノセンス」は見なければなりません。いままで散々貶して来ましたが、押井には、「それまで誰も見たことの無かった光景、世界」を描くことの出来る才能があるからなんです。機動警察パトレイバー2の、東京都内の道々にあたかもありふれた事のように駐留する戦車隊の禍々しさ、GHOST IN THE SHELLの、生物群のように密集し膨張する町並みの、本来喧騒があるべき場所に、それがひとつの沈黙の代理であるかのように鳴り響く鬱々とした歌声。これらの光景の、鳥肌が立つような戦慄すべき映像と効果は、彼の作品でなければ味わえないものだからです。
さらに言ってしまえば、ワタシが今一番期待してるのは、宮崎の「ハウル」でも大友の「スチーム」でもなく、押井の「イノセンス」なんです。
観てやるからな!待ってろ、「イノセンス」。