『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』はとても面白かったぞ

ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション (監督:クリストファー・マッカリー 2015年アメリカ映画)


ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』を観てきた。非常によく出来たエンターティメント作品で、実に楽しんで観ることができた。この映画に関しては諸手を挙げて支持したい。『M:i』シリーズは2作目を除きどれも好きだが、この5作目は個人的に最高傑作な気がする。それはキャラ、アクション、ストーリーのバランスの良さからだ。これだけよく出来た作品だとあれこれ書くのも野暮にすら感じるが、ちょっとその辺を書いてみたい。
まずキャラクターの見せ方の配分がいい。これまではトム・クルーズの独り舞台だったこのシリーズだが、前作からチーム・コンビネーションを主眼に入れるようになり、この5作目でそれが花開いたように思える。ジェレミー・レナー、サイモン・ペグ、ヴィング・レイムス、これらIMFメンバーのみならず、CIA長官役のアレック・ボールドウィンも存在感に溢れていた。悪の黒幕ソロモン・レーンを演じたショーン・ハリスも、狂人めいた冷徹さで迫真の演技だった。
その中で特筆すべきはなんといっても謎の美女イルサを演じたレベッカ・ファーガソンだろう。単なる女マッチョな殺し屋でもフェロモン全開の綺麗所でもない、ミステリアスで知的な雰囲気が漂っているのだ。彼女が添え物としてのヒロインではなく、主人公イーサン・ホークとほぼ対等に見せ場があり重要な役割を担ってるという部分で、これまでのシリーズとは全く別のものを感じさせた。
アクションの良さについては言及するまでもないし、ひとつひとつ取り上げて書き出すことも避けるが、今作では一箇所だけ目立ったりということもなく、どの見せ場も流れるように均等に配されることにより、常に驚きの連続で画面に注視することができるのだ。それぞれのロケーションも実に効果的に使っていて目を楽しませた。だいたいポスターでお馴染みの飛び立つ飛行機に掴まったイーサン・ホークが!という絶対の危機の場面しろ、あんな箇所であっさり演じられて次に進む、という大盤振る舞いにびっくりさせられた。これは構成と編集の巧さの賜物だろう。
格闘シーンにしても、どのような攻撃の応酬があり、どのように敵を倒すかがきちんと見せられ、またその格闘の動きも本物らしくスムーズで、誤魔化しをまるで感じさせないのだ。さらに『M:i』シリーズ恒例のスパイ・ガジェットにしても、これ見よがしではなくあくまで物語の小道具としてさりげなく用いられ、決して悪目立ちしてはいないのだ。なにしろハリウッド・アクションの悪しき紋切型である「殴り合いで決着」といううんざりさせられるような結末がこの作品になかったのは力を込めて評価したい。
ストーリーについては悪の黒幕ソロモンのイルサの扱いが若干手ぬるく感じたが、これも首を捻るようなものではなかった。時間のリミットを設定した『M:i』シリーズお馴染みの展開も、こういった展開にありがちなじれったさを感じさせなかった。これら全てを可能にしたのは、主演であり製作者であるトム・クルーズの辣腕によるものなのだろうが、同時に、監督であるクリストファー・マッカリーの力量に負う所も絶大だろう。
クリストファー・マッカリーは監督前作である『アウトロー』がオレは非常にお気に入りなのだが、マッカリーはヒット作の脚本も多く手掛けており、見栄えのいい派手なシーンの為に整合感を犠牲にすることはせず、細かい積み重ねで見せてゆく作品が多く感じた。逆にそのせいで淡泊過ぎるきらいがあるのだが、今作ではその淡泊さが全体のバランスの良さへと繋がったのではないか。うーん、こうして書くとベタ褒めじゃないか!?
http://www.youtube.com/watch?v=nmC6rZyByzk:movie:W620

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