突然フットワーク/ジュークにハマり山のように音源を入手して聴きまくっている。

■Practice What U Preach / DJ Roc

Practice What U Preach

Practice What U Preach

最近瞬発的にフットワーク/ジュークにハマっている。存在こそ知ってはいたが、あの高速すぎるBPMはオレのようなジジイ向きじゃないし、《ストリート》とか言われるとおっかないことしか思い浮かばない腰抜け野郎なもんだから、なんとなく遠目で見ていたのである。しかしこのDJ Rocによるニューアルバム『Practice What U Preach』をたまたま試聴したらたいそう面白く、このアルバムも含め今まで素通りしていた他のプロデューサーのアルバムを幾つか聴いてみている。フットワーク/ジュークは特別に新しい音だというのではなく、ダンス・ミュージックのフォーマットを今一度プリミティブな方向に揺り戻した音楽ジャンルなのだと思う。特にサンプリング・ヴォイスの執拗な迄のループが楽しい。こういうのもハウス・ミュージック黎明期にはよくあったが、洗練される過程で消滅したスタイルだ。フットワーク/ジュークをそれを再現しながら、より研ぎ澄ました形として音にしている。 《試聴》

■The Crack Capone / DJ Roc

Crack Capone

Crack Capone

そのDJ Rocによる2010年のアルバム。μ-Ziq主宰によるPlanet Muレーベルからのリリースということもあってか変態的なビートが炸裂し、ドリルン・ベースならぬドリルン・フットワークなエレクトロニック・サウンドがとにかく楽しい。このアルバムはオンラインミュージックマガジン「FACT magazine」が選んだ2010年のベストディスクに選ばれたという。 《試聴》

■Bangs & Works Vol.1 (A Chicago Footwork Compilation) / V.A.

Bangs & Works vol. 1: a chicago footwork compilation

Bangs & Works vol. 1: a chicago footwork compilation

2010年にPlanet Muからリリースされフットワーク/ジューク/ゲットーテックに一躍注目を集めたコンピレーション。フットワークの音は性急すぎてもはやグルーブだのソウルだの言っている暇すらなく、ひたすら機能のみを追及している点でエレクトロニック・ミュージックに近づいてしまったジャンルといえるかもしれない。 《試聴》

■Bangs & Works Vol. 2 (The Best of Chicago Footwork) / V.A.

Bangs & Works Vol.2: the best of chicago footwork

Bangs & Works Vol.2: the best of chicago footwork

2011年リリースの「Bangs & Works」コンピレーション第2弾。フットワーク/ジュークは執拗なサンプリング音のループが特徴的だが、このサンプリング・ソースにしろ思いついたその辺のものを拾ってくるだけで、決してジャジーになったりソウルフルになったりはしないのだ。この無機的・機械的な感触が実にいいのだ。 《試聴》

■NEXT LIFE / V.A.

Next Life [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRHD029)

Next Life [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRHD029)

2014年にHyperdubレーベルからリリースされたフットワーク・コンピレーション。Hyperdubということもあってか機材も充実しているのか、音はより洗練され技巧的なものとなっており、メロディすらあるのだが、それでも細切れになった音の連なりには情緒を挟む余地はない。フットワークはビートのシャワーだ。 《試聴》

■Fingers, Bank Pads & Shoe Prints / RP Boo

シカゴ・ジューク第一世代のパイオニア、RP Booのニュー・アルバム。ジュークも2015年に突入するとさすがに音が整理され考えられたものになっている。その分ビートは若干押さえられているが、これはアルバムとしての実験やバラエティが加味されているせいもあるのだろう。 《試聴》

■6613 / DJ Rashad

6613

6613

ジューク・サウンドの第一人者であり2014年に急逝したDJ Rashadの最後のシングル。実はDJ Rashadはジュークが一般的に認知された2013年のアルバム『Double Cup』を聴いたことがあるのだが、このときはあまりピンとこなかった。しかしここの所のジューク・マイブームで引っ張り出して再聴してみたところ「ああそういうことだったのか」と分かる部分が幾つもあった。耳にもスキルがいるんだということなんだろうなあ。 《試聴》

■Tayi Bebba / Clap! Clap!

タイー・ベッバ 【日本独自CD化】

タイー・ベッバ 【日本独自CD化】

そしてフットワーク/ジュークの進化系として一躍注目を集め、オレ自身も「こりゃスゲエ」と興奮したのが2014年9月にリリースされたClap! Clap!のデビューアルバム『Tayi Bebba』だ。Clap! Clap!はジュークにアフリカン・サウンドとベース・ミュージックを融合させ、これまでのジューク・サウンドとは全く違うアプローチでジューク・サウンドを展開しているのだ。アフリカン・サウンドの開放的で明るいサンプリング・メロディの中に突如としてジュークの凶暴なリズムが炸裂するさまは非常にスリリングである。今後はジュークもこういったハイブリッド化が進んでゆくのだろうが、そういった部分で是非聴いておきたいアルバムだといえるだろう。これはお勧め。 《試聴》