幻想の惑星で展開される肉弾ファイト!〜ゲーム『Zeno Clash』 (Windows)


バーチャファイターを生み出した鈴木裕がルネサンス画家ヒエロニムス・ボスをアート・ディレクションに使い、ルネ・ラルーのSFアニメ「ファンタスティック・プラネット」とハリーハウゼン特撮の「恐竜100万年」を下敷きにしたFPSゲームを作ったら。それがこの『Zeno Clash』である。…というのはかなり褒めすぎだが、それだけ画期的であり特異で独創的な世界観を持ったゲームであることは間違いない。
舞台はどこともいつの時代とも知れない架空の惑星。異様な奇観を持ち幻想的な生物が跋扈するこの星で、まるで石器時代のような生活をしている人類がいた。彼らは土俗的な面や衣装を身にまとい、不思議な社会習俗に基づいて生活していた。ゲームの主人公Ghatは、少女Deadraとともに旅を続けていた。Ghatは、全ての生物の父であり母である存在、“Father-Mother”を殺したことにより、仲間達に追われていたのだ。だがGhatには何故“Father-Mother”を殺したのかという記憶がない。しかし世界の果てまで逃亡を続けるうち、Ghatは次第にその記憶を取り戻してゆく…というのがこのゲームのストーリー。
面白いのが戦闘システムで、このゲーム、FPSとは言っても銃を撃ち合うのではなく殴り合いをして戦うのだ。銃器のようなものもあることはあるのだが、これは小動物を退治する以外には役に立たない。一人称視点だから画面の下に自分の両腕が見えていて、マウスをクリックすると正面にいる敵に左右の腕がパンチを繰り出すのである。体勢によっては蹴りや抱え込んでの膝蹴りも出来る。これが結構熱くなる。中盤からは複数の敵が登場するので、集団の中に突っ込むと途端に囲まれてフルボッコされるから、一人一人誘い出して殴りつけるなんて戦略も必要になる。
それとなにしろ、最初から書いているがその幻想的な世界観があまりにも魅力的だ。異界の月が輝き星の瞬く夜の川を、水を飲みにきた巨大な恐竜の群れを避けながら川くだりするシーン、古代遺跡の中で幽鬼と戦うエピソードもいい。そしてなにしろゲーム史上最も変テコな格好をしたヒロインがキュートだ。チリの独立系デベロッパーが開発したらしいのだが、リアル系ともSF系ともファンタジー系とも違う実にユニークな世界を生み出したその手腕は今後も注目に値するだろう。
(購入はSteamダウンロード販売のみ。$19.99。(要登録)→http://store.steampowered.com/app/22200/

■Zeno clash Trailer & gameplay video

http://www.youtube.com/watch?v=-n6qL_ZJ1Kc:MOVIE