COMIC

ハーレイ・クイン誕生を描く危険な愛の物語 /『ハーリーン』

ハーリーン / ステファン・セジク (著)、石川裕人・御代しおり (訳) なぜ彼女は犯罪界の道化王子と恋に落ちたのか―― 若き犯罪心理学博士ハーリーン・クインゼル。お局サマにいじめられ、同僚とクダをまく平凡な研究生活を送っていた彼女だったが、その研究…

最近読んだコミックなどなど/『雨と君と』を中心に

雨と君と(1) / 二階堂幸 『雨と君と』はある雨の日に主人公女子が「犬のような生き物」を拾って飼い始めるところから始まる。 この「犬のような生き物」、実はタヌキである。しかし主人公をはじめ周りは「まあ犬だって言ってるんだろうから犬なんだろう」と…

滅亡した世界でバットマンとジョーカーの最後の旅が始まる/『バットマン:ラストナイト・オン・アース』

バットマン:ラストナイト・オン・アース / スコット・スナイダー (著), グレッグ・カプロ (イラスト), 高木 亮 (翻訳) 「これがバットマンの最後の旅になるかもしれない……」 突如ゴッサムシティに出現した、自身の遺体をなぞるかの如く描かれたチョークラ…

『バットマン:カース・オブ・ホワイトナイト』は痺れるほどにカッコいいバットマン・コミックだった!

バットマン:カース・オブ・ホワイトナイト / ショーン・マーフィー (著、イラスト)、クラウス・ジャンソン (イラスト)、秋友克也 (翻訳) 自らの善の人格であるジャック・ネイピアを意識の奥底に追いやったジョーカーは、 ウェイン一族への復讐を誓うアズラ…

オカルト・テイストのバットマン・コミック『バットマン:ダムド』

バットマン:ダムド/ブライアン・アザレロ (著), リー・ベルメホ (イラスト) 戦いの末、バットマンはゴッサムゲート・ブリッジから転落し、瀕死の重傷を負う。謎の男ジョン・コンスタンティンに救われたバットマンは、飛び込んできたニュース速報に耳を疑う…

最近読んだコミック

■西遊妖猿伝 西域篇 火焔山の章(2) / 諸星 大二郎 西遊妖猿伝 西域篇 火焔山の章(2) 西遊妖猿伝 西域篇 火焔山の章 (モーニングコミックス) 作者:諸星大二郎 発売日: 2021/02/22 メディア: Kindle版 諸星大二郎のライフワーク的作品『西遊妖猿伝』の「西…

ジョーカーが英雄となりバットマンを投獄する!?/『バットマン : ホワイトナイト』

■バットマン:ホワイトナイト/ショーン・マーフィー 謎の薬物の過剰摂取により、狂気から醒めたジョーカー。本来の自分を取り戻した彼は、かつて自らの手で蹂躙したゴッサムシティを救うべく立ち上がる。彼の標的となったのは、街の実権をほしいままにしてき…

最近読んだコミックなどなど

■レベレーション(6)(完結)/山岸涼子 レベレーション(啓示)(6) (モーニング KC) 作者:山岸 凉子 発売日: 2020/12/23 メディア: コミック 山岸涼子の描くジャンヌ・ダルク物語完結編。ジャンヌ・ダルクの最期は誰もが知る所だろうが、それをどう料理するのか…

『ウォッチメン』とDCユニバースとの邂逅/『ウォッチメン』続編作品『ドゥームズデイ・クロック』

ドゥームズデイ・クロック/ジェフ・ジョーンズ (著), ゲーリー・フランク (イラスト), 中沢 俊介 (翻訳) 『ウォッチメン』の結末から7年後、世界は再び核戦争の危機に直面していた。人類を救うため、オジマンディアスとロールシャッハは、ドクター・マンハ…

2020年:今年面白かった本やらコミックやら

今年はたくさん本を読んだのだ 今年はなにしろたくさん本を読んだ。実のところ数で言うと50冊ぐらいで、一日一冊は読んでいる読書家の方から見れば「それで沢山?」と思われるかもしれないが、これまで月2,3冊程度しか読んでいなかったオレにしては相当な数…

最近読んだコミックあれこれ

■プリニウス(10) / ヤマザキマリ、とりみき プリニウス 10巻: バンチコミックス 作者:ヤマザキマリ,とり・みき 発売日: 2020/09/09 メディア: Kindle版 『プリニウス』第10巻、遂にあの皇帝ネロが!?というちょっとしたクライマックスを迎える巻である。と…

バンドデシネ作品『レベティコ―雑草の歌』を読んだ

■レベティコ―雑草の歌 / ダヴィッド・プリュドム(作)原正人(訳) 『レベティコ―雑草の歌』は第2次世界大戦前夜のギリシャ・アテネを舞台に、その日暮らしの音楽家たちのダルくユルい一日を描いたバンドデシネ・コミックである。タイトルである「レベティ…

最近読んだコミック:『MATSUMOTO』『金正日の誕生日』他

■MATSUMOTO/LF・ボレ, フィリップ・ニクルー, 原 正人 かつて日本を震撼させたカルト教団、オウム真理教をフランス人漫画家が描くバンドデシネ作品がこの『MATSUMOTO』だ。オウム真理教は様々な恐るべき事件を引き起こしたが、この作品ではその最初のものと…

内戦下のシリアで少女が見たものとは/グラフィックノベル『ZENOBIA ゼノビア』

■ZENOBIA ゼノビア/モーテン・デュアー、ラース・ホーネマン 2011年から続くというシリア内戦の実情は複雑すぎて自分には理解出来ているとは言い難い。長期化したアサド軍事政権への反体制派による民主化運動が切っ掛けとは言うが、そこに様々な国家・人種…

最近読んだコミックあれこれ

■そせじ (4) /山野一 そせじ(4) 作者:山野一 発売日: 2020/05/11 メディア: Kindle版 特殊漫画家・山野一はねこぢるとの出会いからその後「ねこぢるy」としてねこぢるの遺志を継いできたが、山野一名義で書き続けているコミック『そせじ』はかつての山野…

最近読んだコミックあれこれ

■死都調布南米紀行/斉藤潤一郎 【Amazon.co.jp 限定】死都調布 南米紀行(タトゥーシール付き) (torch comics) 作者:斎藤 潤一郎 発売日: 2020/04/10 メディア: コミック 前作『死都調布』 はガロ的なオルタナティヴ・コミックの画風に干乾びきったハードボ…

最近読んだコミックあれこれ

■風水ペット (2)/花輪 和一 風水ペット (2) (ビッグコミックススペシャル) 作者:花輪 和一 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2019/09/30 メディア: コミック どこぞの山奥の村で怪しげなオカルト知識と動物たちを駆使し世界経済崩壊後の新たなる経済体制を…

今年面白かった本とかコミックとか音楽とか

unsplash-logo Loverna Journey 今年も順調に押し迫ってきやがりました!と言う訳で今日は「今年面白かった本とか音楽とかコミックとか」と題し、今年オレのブログで取りあげたそれぞれのモノについてつらつらと羅列していこうかと思います。 目次 ■今年面白…

最近読んだコミックあれこれ

■ゴールデンカムイ(20)/野田サトル ゴールデンカムイ 20 (ヤングジャンプコミックス) 作者:野田 サトル 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2019/12/19 メディア: コミック 出ました、待望の『ゴールデンカムイ』第20巻。樺太での大波乱の後に杉元ら一行が目…

ウィリアム・ギブスン脚本による幻の『エイリアン3』をコミック化した『エイリアン3 オリジナル・スクリプト』

■エイリアン3 オリジナル・スクリプト/ウィリアム・ギブスン(作) ジョニー・クリスマス(翻案・画) 1992年にデヴィッド・フィンチャー監督により公開されたSFサスペンス映画『エイリアン3』は企画段階から非常にトラブルが絶えなかった作品であり、公開後も…

最近読んだコミックなどなど

■ゴールデンカムイ(19)/野田サトル ゴールデンカムイ 19 (ヤングジャンプコミックス) 作者: 野田サトル 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2019/09/19 メディア: コミック この商品を含むブログを見る ついこの間1巻から18巻まで購入し一気読みした『ゴール…

コミック『ゴールデン・カムイ』を(今頃)1巻目から読み狂っていた!!

■ゴールデン・カムイ(1)~(18)/野田サトル 「コミックス第18巻までの累計発行部数は1000万部を突破!」という超大ヒットコミック『ゴールデン・カムイ』、つい最近1巻から最新18巻までを大人買いし、一気に読み終えました! いや~、おんもしろかったあああ…

未来のパリ、過去のパリ/バンドデシネ『パリ再訪』

■パリ再訪/フランソワ・スクイテン、ブノワ・ペータース フランソワ・スクイテン+ブノワ・ペータースによる大著『闇の国々』全4巻の刊行は日本のバンドデシネ出版において画期的な出来事だったのではないかと思う。あのデカい・厚い・重い・(価格が)高い…

最近読んだコミックなどなど

■ヒストリエ(11)/岩明均 ヒストリエ(11) (アフタヌーンKC) 作者: 岩明均 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/07/23 メディア: コミック この商品を含むブログを見る 相変わらず主要人物全員死んだ目をしており、例によって寒々しい物語が展開していて今…

バンドデシネ・アーチスト、バスティアン・ヴィヴェス特集:その4『ラストマン(6)』

■ラストマン(6)/バラック、 ヴィヴェス 、サンラヴィル バンドデシネ作品『ラストマン』は日本では現在最新刊6巻が刊行されている現在進行形のコミックである。内容はこれまで紹介した3作と大きく異なり、日本の少年漫画誌で連載されてもおかしくないメジャ…

バンドデシネ・アーチスト、バスティアン・ヴィヴェス特集:その3『塩素の味』

■塩素の味/ バスティアン・ヴィヴェス この『塩素の味』は2008年刊、今回紹介した中でも初期の頃の作品にあたり、同時に作者バスティアン・ヴィヴェスの名を大きく世間に知らしめた作品でもある。日本でも作者の初紹介作であり、唯一の全ページカラー作品だ…

バンドデシネ・アーチスト、バスティアン・ヴィヴェス特集:その2『ポリーナ』

■ポリーナ/バスティアン・ヴィヴェス 日本では2014年に刊行された『ポリーナ』はバレエ・コミックである。幼少よりバレエの才能に恵まれたロシア生まれの少女ポリーナが、厳格なバレエ教師との間で悩み葛藤し対立しながら、あるいは友人や恋人や協力者との…

バンドデシネ・アーチスト、バスティアン・ヴィヴェス特集:その1『年上のひと』

■年上のひと/バスティアン・ヴィヴェス バスティアン・ヴィヴェスといえば新進バンドデシネ・アーチストとしてかねてから注目を浴びる作家だが、オレは格闘ファンタジーコミック『ラストマン』でしか名前を知らなかった。で、それ以外の作品にも触れてみよ…

最近読んだコミックなどなど

■映像研には手を出すな!(1)~(4)/大童澄瞳 アニメーション制作に打ち込む3人の女子高生を主人公としたコミック、ついこの間4巻が出たのを期に今回意を決してまとめ読みしたのだが、いやあ評判にたがわず実に楽しい作品だった。 3人の主人公はそれぞれ「設…

ヘルボーイ最終章『ヘルボーイ・イン・ヘル:誰が為に鐘は鳴る』

■ヘルボーイ・イン・ヘル:誰が為に鐘は鳴る/マイク・ミニョーラ 血の女王との死闘の果てに地獄へと堕ちたヘルボーイは、忌まわしき血の絆を断ち切りながら煉獄に足を進める。だがその旅は、間もなく終焉を迎えようとしていた。その行き着く先とは…。1994年…