BOOK

大日本帝国軍アメリカ征服!巨大ロボット出撃!オタクネタ満載!〜『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』

■ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン / ピーター・トライアス 第二次大戦で日独の枢軸側が勝利し、アメリカ西海岸は日本の統治下にある世界。巨大ロボット兵器「メカ」が闊歩するこの日本合衆国で、情報統制を担当する帝国陸軍検閲局勤務の石村紅功(い…

地獄のメキシコ麻薬戦争を描く『犬の力』続編小説『ザ・カルテル』

■ザ・カルテル(上)(下) / ドン・ウィンズロウ 麻薬王アダン・バレーラが脱獄した。30年にわたる血と暴力の果てにもぎとった静寂も束の間、身を潜めるDEA捜査官アート・ケラーの首には法外な賞金が賭けられた。玉座に返り咲いた麻薬王は、血なまぐさい抗争を…

今度のスティーヴン・キングはミステリーに挑戦だ!『ミスター・メルセデス』

■ミスター・メルセデス / スティーヴン・キング スティーヴン・キングが2014年に発表した『ミスター・メルセデス』が翻訳されて、一介のキング・ファンとしてはとりあえず読まねばなるまい、と例によって分厚い上下巻をドーンとまとめて買ったのである。いや…

バンクシー出没にニューヨークは大騒ぎ〜『BANKSY IN NEW YORK バンクシー・イン・ニューヨーク』

随分前からゲージツには興味が無くなってしまったし、美術館にも行かなくなった。オレのさもしい日常に、ゲージツやら美術館やらがなんだかそぐわなく思えてきたのだ。そんな中バンクシーはいまだ好きなアーチストなんだと思う。洋書屋で(まあ、こういう所…

ジュノ・ディアスの『ハイウェイとゴミ溜め』を読んだ

ドミニカの田舎での退屈な夏休み。伝説のマスク怪人を追うボクとアニキの冒険「イスラエル」。キレた女の子オーロラがボクに求めたものはドラッグだったのかセックスだったのか、それとも…。N.Y.の路上に生まれたラブ・ストーリー「オーロラ」。魔術的リアリ…

アリス・マンローの短編集『イラクサ』を読んだ

旅仕事の父に伴われてやってきた少年と、ある町の少女との特別な絆。30年後に再会した二人が背負う、人生の苦さと思い出の甘やかさ(「イラクサ」)。孤独な未婚の家政婦が少女たちの偽のラブレターにひっかかるが、それが思わぬ顛末となる「恋占い」。そのほ…

『マヌ法典―ヒンドゥー教世界の原型』を読んだ

■マヌ法典―ヒンドゥー教世界の原型 / 渡瀬信之 多民族、多言語、多宗教の国インドでは、今日ヒンドゥー教徒が総人口の8割をしめ、かれらは文化、政治、経済に圧倒的な力を及ぼす。ヒンドゥー教は信仰と生活実践を一体化した宗教で、特有の社会制度、法律、倫…

インド好きにもインドを知らない方にもお勧めしたいインド本『インド人の謎』

■インド人の謎 / 拓徹 インド滞在12年――気鋭の研究者が、インドの「謎」を解く! 神秘、混沌、群衆……インドにはとかく謎めいたイメージがつきまといます。こうしたイメージは、興味をかき立てるだけでなく、往々にして私たちとインドとの心理的な距離を拡げて…

『蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二: 囚われの王狼』を読んだ

■蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二: 囚われの王狼 / ケン・リュウ 人を惹きつけてやまない天性の魅力をもったクニ・ガルと、皆殺しにされた一族の復讐を胸に生きる男マタ・ジンドゥ。ザナ帝国打倒の旗印のもと、ふたりは永遠の友情を誓ったはずだった―。…

一人の口上師の死を巡るスラップスティック〜『素晴らしきソリボ』

■素晴らしきソリボ / パトリック・シャモワゾー 誰がソリボを殺したか?クレオール作家の画期的小説!!カーニバルの夜、語り部ソリボは言葉に喉を掻き裂かれて死ぬ──クンデラに「ボッカッチョやラブレーにつづく口承文学と記述文学の出会い」と激賞された、ク…

インドとアメリカを舞台にしたある家族の破綻と再生の物語〜『低地』 ジュンパ・ラヒリ

カルカッタ郊外に育った仲睦まじい年子の兄弟。だが過激な革命運動に身を投じた弟は、両親と身重の妻の眼前、自宅近くの低湿地で射殺される。報せを聞いて留学先のアメリカからもどった兄は、遺された妻をカルカッタから連れだすことを決意する。喪失を抱え…

雪に閉ざされたトルコの街で起こった反イスラム主義クーデターの顛末〜『雪』

■雪 / オルハン・パムク 十二年ぶりに故郷トルコに戻った詩人Kaは、少女の連続自殺について記事を書くために地方都市カルスへ旅することになる。憧れの美女イペキ、近く実施される市長選挙に立候補しているその元夫、カリスマ的な魅力を持つイスラム主義者“…

岸本佐知子翻訳・編集による不思議で不気味で素晴らしい現代アメリカ文学短編集『楽しい夜』

■楽しい夜 / 岸本佐知子・編 メキシコの空港での姉妹の再会を異様な迫力で描いた、没後十余年を経て再注目の作家による「火事」(ルシア・ベルリン)、一家に起きた不気味な出来事を描く「家族」(ブレット・ロット)。アリの巣を体内に持つ女という思い切り変な…

台湾の作家・呉明益による短編集『歩道橋の魔術師』を読んだ。

■歩道橋の魔術師 / 呉明益 1979年、台北。西門町と台北駅の間、幹線道路にそって壁のように立ち並ぶ「中華商場」。物売りが立つ商場の歩道橋には、子供たちに不思議なマジックを披露する「魔術師」がいた――。現代台湾文学を牽引し、国外での評価も高まりつつ…

『紙の動物園』ケン・リュウによるシルクパンク・エピック・ファンタジイ巨編『蒲公英(ダンデライオン)王朝記』開幕開幕〜!

■蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ / ケン・リュウ ■『紙の動物園』ケン・リュウの初長編作 七つの国々からなるダラ諸島では、統一戦争に勝利したザナ国が他の六カ国を支配し、皇帝マビデレが圧政を敷いていた。喧嘩っ早いが陽気で誰からも…

ラテンアメリカのポスト・モダニズム〜『夜、僕らは輪になって歩く』

■夜、僕らは輪になって歩く / ダニエル・アラルコン 内戦終結後、出所した劇作家を迎えて十数年ぶりに再結成された小劇団は、山あいの町をまわる公演旅行に出発する。しかし、役者たちの胸にくすぶる失われた家族、叶わぬ夢、愛しい人をめぐる痛みの記憶は、…

マヌエル・ゴンザレスの奇想小説集『ミニチュアの妻』を読んだ

■ミニチュアの妻 / マヌエル・ゴンザレス 飛行機のハイジャック、ゾンビといった21世紀的モチーフのみならず、ページをめくる度に予測不可能な設定が飛び出す、「ポスト・アメリカ」世代の注目の若手による第一短篇集。 アメリカ在住のメキシコ移民三世、マ…

ジョン・ヴァーリイの〈八世界〉全短編第2集『さようなら、ロビンソン・クルーソー』を読んだ

■さようなら、ロビンソン・クルーソー (〈八世界〉全短編2) / ジョン・ヴァーリイ 時は夏。そしてピリは二度目の幼年期を迎えていた――冥王星での長い夏休みと少年期からの再卒業を鮮やかに描く表題作など、6編を収録。謎の超越知性により地球を追放された人…

ティプトリー最晩年の作品集『あまたの星、宝冠のごとく』には濃厚な死の匂いが漂っていた

■あまたの星、宝冠のごとく / ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 地球からの異星調査隊が不思議な共生生物と出会い深い関係を結ぶ「いっしょに生きよう」、神の死の報を受け弔問に来た悪魔の考えた天国再活性化計画が意外な展開を見せる「悪魔、天国へ行く…

『スター・ウォーズ』『マッドマックス』にインスピレーションを与えたとも言われる著作『千の顔をもつ英雄』を読んだ。

■千の顔をもつ英雄〔新訳版〕(上)(下) / ジョーゼフ・キャンベル 出合ってから30年というもの、この本は私を魅了し、インスピレーションを与え続けてくれている。――ジョージ・ルーカス 世界最古の英雄譚といわれるギルガメシュの冒険からオデュッセウスの苦…

『一万年の旅路 ネイティヴ・アメリカンの口承史』を読んだ

■一万年の旅路 ネイティヴ・アメリカンの口承史 / ポーラ・アンダーウッド アメリカ大陸に住む、インディアンとも呼ばれるネイティブ・アメリカンの人々は、その昔ベーリング海峡が陸続きたっだころベーリング陸橋をわたり、アジア大陸へ渡ってきたモンゴロ…

ロボット捜査官の物語に巧みにポリティカル・コレクトネスとヘイトクライム問題を盛り込んだSF作品〜『ロックイン-統合捜査-』

■ロックイン-統合捜査- / ジョン・スコルジー 意識はあるのに体をまるで動かせない「ロックイン」状態を引き起こすパンデミックが発生した後の世界。ヘイデンと呼ばれる患者たちは、アメリカ国内で400万人以上にのぼる。だが疫病の最初の発生から20数年後の…

百年を遡るある男の理想と挫折と新たなる希望の物語〜『SOY!大いなる豆の物語』

■SOY!大いなる豆の物語 / 瀬川深 有名大学は卒業したものの就職したIT企業を一年半で退社した原陽一郎。バイトと、友人と始めたゲーム制作で食いつなぐ彼のもとに、ある日、仰々しい紋章入りの封筒が届く。それはとある穀物メジャーのCEO、コウイチロウ・ハ…

積読していたSF小説をあれこれ読んでいた第2弾!

以前更新した『30年以上積読していた古いSF小説を中心にあれこれ読んでいた。 - メモリの藻屑、記憶領域のゴミ』の第2弾です。今回も30年モノの積読SFを読んでみました。ちなみに「積読シリーズ」はとりあえず今回まで! ■ノーストリリア / コードウェイナー…

Virgil Finlay幻想画集 復刻版 / 大瀧 啓裕 編・著

伝説の幻想小説誌『ウィアード・テイルズ』を中心に、そうそうたる幻想・SF作家たちの挿絵を手がけ、その精緻を極めた流麗な画風で幻想・SFイラストの最高峰と讃えられたヴァージル・フィンレイの画業を収録した『Virgil Finlay幻想画集』を34年ぶりに復刻刊…

世界26ヶ所の名だたる廃墟を収めた写真集『世界の廃墟』

■世界の廃墟 / 佐藤健寿 以前このブログで紹介した『バイコヌール宇宙基地の廃墟』を読んでからなんだか"廃墟の本"が気になり、あれこれ探したところ見つけたのがこの写真集『世界の廃墟』。監修者はベストセラーとなった『奇界遺産』を著した佐藤健寿。『奇…

京極夏彦の『ヒトでなし 金剛界の章』を読んだ。

■ヒトでなし 金剛界の章 / 京極夏彦 理屈も倫理も因果も呑み込む。この書は、「ヒトでなし」の「ヒトでなし」による「ヒトでなし」のための経典である――。娘を亡くし、職も失い、妻にも捨てられた。俺は、ヒトでなしなんだそうだ――。そう呟く男のもとに、一…

放擲されたソ連宇宙計画の残骸〜『バイコヌール宇宙基地の廃墟』

■バイコヌール宇宙基地の廃墟 / ラルフ・ミレーブズ バイコヌール宇宙基地はカザフスタンに存在するロシア連邦宇宙局の管理するロケット発射場である。その広大な敷地の片隅に、半ば廃墟と化したロケット格納庫と関連施設が佇んでいる。そこには、冷戦時代の…

今年面白かった本あれこれ(殆どSF)

■今年一番面白かったのはこの3冊。 ○パヴァーヌ / キース・ロバーツ パヴァーヌ (ちくま文庫)作者: キースロバーツ,Keith Roberts,越智道雄出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/10/01メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 52回この商品を含むブログ (25件) …

英米SF賞史上最多7冠受賞作『叛逆航路』は新たなるフェミニズムSFの潮流なのか?

■叛逆航路 / アン・レッキー ■英米SF賞史上最多7冠受賞作 ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、アーサー・C・クラーク賞、英国SF協会賞、英国幻想文学大賞、キッチーズ賞の7冠獲得 二千年にわたり宇宙戦艦のAIだったブレクは、自らの人格を四千人の人体に…