『ディアブロ III』を今度はニンテンドースイッチで始めたわけなんだが

ディアブロ III エターナルコレクション (Nintendo Switch)

ディアブロ III エターナルコレクション -Switch

以前このブログで「ゲームは買うんだけど全然やれてない」と白状したが、その舌の根も乾かないうちにまたしても新作ゲームソフトを購入してしまったイケナイオレである。そしてそのタイトルは『ディアブロ III エターナルコレクション』、ニンテンドースィッチのソフトなのだ。そしてこの『ディアブロ III』、実は今回で4回目の購入なのだよ!!

もはや世界最高のハック&スラッシュ・ゲームと言ってもいい『ディアブロ』シリーズ、オレも1作目からPC版で購入してアホみたいに遊んでましたよ!そしてこの『III』、なんとPC版とPS3版とPS4版でそれぞれ購入してプレイしており、このスイッチ版で4回目のチャレンジとなるんですな!アホなのか!?オレはアホなのか!?

(細かいことを書くとPC版はセキュリティがキツ過ぎて途中からログインできなくなり放棄、PS3を購入してクリア、そのHDアップグレード版とも言えるPS4版を購入しPS3のデータを引き継いでもう一回最初からプレイ、ってな感じですな)

そんな既にクリアしたゲームをなんでまたハードを変えてプレイしてみようかと思ったかと言うとですね、ホラ、スイッチって、携帯ゲーム機としても使用できるじゃないですか!?つまりね、『ディアブロ III』をですね、外に持ち出して遊べる!!と思ったわけなんですよ!

このゲームって少しもヤヤコシイところが無くて、単にガンガン敵を倒してガンガン装備揃えてガンガンレベルアップしてゆく、それだけを延々猿みたいに繰り返していればいい麻薬っぽいゲームなんですが、それを!外で出来る!と考えただけで既に脳汁ダダ漏れですよ!猿になりたい!オレは猿になりたい!

これまでのバージョンとスイッチ版の違いといえば色々ありますが、非常にプレイしやすかったPS3、4版をさらにやりやすくしていますね。グラは確かに見劣りはしますが、これも比較の問題で、ゲームプレイには十分のグレードではないでしょうか。ただし、期待していた携帯ゲーム機としての使用は、プレイに問題は無いものの、字が小っちゃくなっちゃうのでこれだけ若干苦労するかも。ま、オレが老眼のジジイなだけの話であって、ワカモノの皆さんには関係ないことかもしれませんがね!

それよりも想定外でよかったのは、TV画面でプレイする時に、スイッチのコントローラーが非常に使うのが楽で遊びやすいってことですね。どういうことかと言うと、スイッチのコントローラーって、基本セパレートしてるじゃないですか。これをアタッチメント付けて一個のコントローラーにするのではなく、最初から両手にそれぞれ持ってプレイすると、常にコントローラーを構えている必要がなくて、寝っ転がって遊ぶときに楽でいいんですよ!これはスイッチのどのゲームでも言えるのかもしれませんが、少なくともオレはこのプレイスタイルが快適すぎてびっくりしました。

そんな訳でこの正月は、例によってサルの如くプレイしていたオレでありました!いやもうマジ最強だわこのゲーム!!  


【ディアブロ III エターナルコレクション】Nintendo Switch™公式トレーラー

 

タフでアクティヴなリスベットが活躍するシリーズ続編/映画『蜘蛛の巣を払う女』

蜘蛛の巣を払う女 (監督:フェデ・アルバレス 2018年アメリカ映画)

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■映画『ドラゴン・タトゥーの女』の続編はキャスト一新!?

世界的大ベストセラーミステリをデヴィッド・フィンチャー監督により2011年に映画化した『ドラゴン・タトゥーの女』はスウェーデンの凍てついた大地で起こる寒々しい事件を題材にしたダーク際まり無い北欧ノワールだったが、同時にリスベット・サランデルというユニークかつエキセントリックなキャラクターを登場させたことで衆目を浴び、大ヒットした作品だった。

永らく待たされていたその続編がいよいよ公開となりオレも興奮したひとりだが、その予告編を観た時思ったのは、多分誰もと同じように、「えええ~~~ッ!?リスベット役はルーニー・マーラーじゃないのおおお~~~ッ!?」ということだった。なにしろそれほどルーニー・マーラー演じるリスベットは個性的で傑出したキャラだったのだ。

ルーニー・マーラーのみならず、主人公ミカエルを演じたダニエル・クレイグの続投もなく、フィンチャーは製作総指揮に回って監督自体は『死霊のはらわた』(2013)『ドント・ブリーズ』(2016)の新進監督フェデ・アルバレスであるという。物語自体も原作2作目ということではなく4作目に当たるのらしい。オレは不安要素を感じつつ、しかし逆にフェデ監督が新キャストでどこまで見せてくれるのかを期待して劇場に足を運んだのだ。

■『蜘蛛の巣を払う女』の物語

物語はある科学者がリスベットにあるハッキング行為を依頼するところから始まる。その科学者、フランス・バルデルは危険なプログラムを開発しそれを封印しようとしたが、アメリカ国家安全保障局はそれをよしとせずバルデルを追放した。バルデルの依頼はNSAにハッキングしそのプログラムを奪い返して欲しいというものだった。ハッキングは成功したが、そのプログラムを狙う凶悪な集団が現れ、リスベットとバルデルの命を狙う。危機に落ちたリスベットはかつての協力者ミカエルに援軍を要請する。

さらに物語ではリスベットが現在「虐げられた女たちを救う制裁者」として行動していること、そして彼女の幼少時に遡り、忌まわしい過去の秘密、双子の妹との悲痛な別れが描かれる。しかし自殺したと思われていたその妹カミラがリスベットの前に現れ、おぞましい悪事に加担していることもまた明らかになる。こうして過去の因縁と現在とが交錯しつつ物語は冷徹な陰謀術数と凄まじい暴力に彩られながら突き進んでゆく。

■比べちゃいけないと思いつつやはり比べてしまうけれども

さて、観客の興味はこの作品がフィンチャー版と同等に楽しめるのか、フィンチャー版と比べてどうなのか、ということになるのではないだろうか。単純にフィンチャー版を超えたか、というとそれは正直言って否だが、しかしそれだけでこの作品を否定してしまうのはあまりに拙い原理主義的なことのように思う。そういった比較によって面白い・つまらないと判断せずこの作品単体の面白さを見つけ出すことのほうが映画鑑賞として楽しめるはずだ。

とはいえ、やはり比べながら見てしまうのも映画ファンの性であることも理解できる。まあ実際自分もそうだし。だから今回はその辺りをちょっと掘り下げて今作の楽しめる部分を探してみたい。なぜなら、確かにこの作品はフィンチャーの透徹した映画技術に届かない部分もあるが、しかしフィンチャーが描かなかったこと、描けなかったことを可能にしている部分もまた同様にあるからだ。

■今回のリスベットはタフでアクティヴ!

今作で驚かされるのはリスベットの成長振りだろう。前作から3年後という時代設定となるらしいが、ここで彼女は女性虐待者への制裁者として闇で活動し当局に追われており、さらに高難易度なハッキング稼業の請負もやっているのだ。前作では社会に自分の居所が無いのけ者でありあぶれ者であることからハッキングに傾倒し、被虐待者という痛々しい状況から窮鼠猫を噛む復讐を遂げるという、あくまで「社会的弱者の逆襲」というキャラクターであった彼女が、この作品では能動的な行動者として立ち振る舞い、非合法的とはいえ社会に自らの場所を見出しているのである。

さらに映画では彼女のアクションや大立ち回りがふんだんに盛り込まれる。とはいえ線の細い彼女がマッチョに戦えるはずもなく、常に満身創痍であり容易く肉体的危機に追い込まれる。しかしだ。そこを高い知性に裏打ちされた的確な判断力とハッキングのスキルとを生かして果敢に乗り越え、八面六臂の活躍を見せるのだ。前作において脆く壊れやすくいつもヤマアラシのように社会に棘を突き出していた彼女はここにはいない。前作と同じリスベットを期待するのではなく、こうして成長したタフでアクティヴでストロングなリスベットにエールを送りながら鑑賞するのが今作の醍醐味なのだ。

■いよいよ物語の中心的存在となるリスベット

こうした「成長したリスベット」を徹底的に描き出す今作は、前作における「ミカエルの協力者としてのリスベット」といったような、あくまで物語におけるサブキャラクター的な立場を脱し、いよいよ主役中の主役として活躍しまくってくれるのである。これはリスベット・ファンにとっては嬉しいことの筈ではないか。逆に、前作で中心的な存在だったミカエルは今作では一歩引いた影の薄い存在として登場し、「リスベットの協力者としてのミカエル」としか描かれない逆転現象が面白い。

とはいえ、こうして「タフなリスベット」となったその背景には、「ミカエルという世界で唯一最も信頼できる者」という存在があったればこそだったのかもしれない。一度はミカエルに失恋したリスベットだが、今作でも一瞬イイ雰囲気になるところが微笑ましいし、女房が怪しみまくっているその最中にリスベットからの電話に矢も盾もたまらなくなるミカエルというのも可愛らしい。なにより、この作品で一番最初にグッとくるのは、3年間音信不通だった二人が、ようやく対面するシーンなのだ。この作品は、99.999%ツンなリスベットの0.001%のデレを愛でる映画でもあるのだ。

■呪われた過去の因縁

こういったリスベットの成長振り以外にも、物語のそちこちで描かれる「こんなことまでできてしまうのか!?」と驚かされるハッキング技術の凄まじさもまた楽しめる作品だ。天才ハッカー、リスベットが次から次に繰り出すハッキングの技も唸らされるが、敵集団もまた同様にいやらしいハッキング技術でリスベットを追い詰める。こういったハッキングvsハッキングの応酬が実にスリリングなのだ。1作目が古典的ですらあるサイコ・スリラー的な作品であったことを考えると、突出したハイテク・スリラーとしての側面を持つこの作品はよりモダンでありスマートな物語性を兼ね備えているのだ。

そこに加味されるのがリスベットの呪われた過去の因縁である。そしてその過去の因縁は死んだと思われていた妹カミラが邪悪な存在となって立ちはだかることにより、リスベットの「今」に清算を迫るのだ。能動的でタフな行動者として成長したリスベットの、最後に残されたたったひとつのウィークポイントが、彼女がまだ乗り越えていない過去に存在していたのである。彼女がこの「過去」とどう清算を付けるのか。それがどんな形となり、どんなクライマックスを迎えるにせよ、そしてそれが望むにせよ望まないにせよ、物語の最後には、またもうひとつ大人となったリスベットが、この無情の世界で生きる姿を見られる筈だ。そしてそんなリスベットの姿に、オレはたまらなく心ときめかされるのである。

だからね。キャスト変わったってなんだっていいから、また再び、リスベットの活躍が観たいんだよオレは!続編が出たらまた観るよ!


蜘蛛の巣を払う女 - 映画予告編

ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ラ 19-1)

ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ラ 19-1)

 
ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ラ 19-2)

ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ラ 19-2)

 

地獄から地獄へ、恐怖を積んで。/ 映画『恐怖の報酬【オリジナル完全版】』

■恐怖の報酬【オリジナル完全版】 (監督:ウィリアム・フリードキン 1977年アメリカ映画)

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■40年の時を経て甦る【完全版】

1977年に全米公開されたウィリアム・フリードキン監督作品『恐怖の報酬』は1978年の日本公開時にオレも観ている。『エクソシスト』『フレンチ・コネクション』の監督が撮った作品というだけに期待して観たし、実際十分満足できる作品だった。当時の映画評論家の論調では「オリジナルをまるで超えてない」と酷評だったが、いったいこれのどこが悪いのかまるで理解できなかった(ファック・シネフィル!)。

そのオリジナル版であるアンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督によるフランス映画『地獄の報酬』(1953)はオレが20代だった頃にリバイバル上映され、これも観に行った。あの頃はまだビデオソフトやレンタルが一般的ではなかった時代だったと記憶しているが、だからこそ古いフランス映画のリバイバルは貴重だった。ただ、この時に観たクルーゾー版『恐怖の報酬』は、当時のオレには退屈だった。というか、「モノクロの古いフランス映画」というものに、若造だったオレが馴染めなかったという事だったのだと思う。

というのは、50代を過ぎた頃にもう一度クルーゾー版をDVDで観たのだが、これがもう、世の評価の通り、掛け値なしの傑作だったからだ。貧困にあえぐこの世の果ての様な南米の土地、そこで絶望に満ちた生活を続ける主人公らがニトロ運搬で得られる高額報酬という"恐怖の報酬"に一縷の望みを掛け、死と隣り合わせの地獄の様な悪路を突っ切るというこの物語は、その徹底した暗さと重さ、張り詰めた糸のように緊張の続く描写、救いの無いラストに至るまで、まさに第一級の映画作品だったのだ。

その『恐怖の報酬』の、フリードキン版作品がリバイバル上映されるという。実は日本初公開時には、オリジナル全米公開版121分だったものを国際版として92分にカットされた作品として公開されていたのらしい。これをオリジナルの尺に戻し、さらに4Kリマスタリングを施し、堂々蘇らせたのがこの『恐怖の報酬【オリジナル完全版】』ということなのだ。『2001年宇宙の旅』や『遊星からの物体X』のリバイバル上映にさえ興味を持たなかったオレだが、なぜかこの『恐怖の報酬【オリジナル完全版】』には惹かれるものを感じた。実際観に行った劇場は4K上映ではなかったが、それでも、40年振りに観た『恐怖の報酬』は、40年前に観た以上に、臓腑を抉るかのような凄まじい作品だった。

■地獄から地獄へ、恐怖を積んで。

物語は主役となる4人の男たちの、後ろ暗い過去の描写から始まる。一人は殺し屋、一人はテロリスト、一人は横領犯、一人はギャング。それぞれの犯した過ちにより、4人は南米の薄汚れた小さな町に流れ着く。しかしそこは希望の片鱗もない地獄の様な地だった。ある日、近隣の土地で油田火災が発生し、これを消し止めるためニトログリセリンをトラックで運搬する運転手が必要となる。

ほんの少しの衝撃で大爆発を起こすニトログリセリン。報酬は莫大な金額。救いの無い町から脱出するため、4人の男たちは生死を掛けたこの仕事を請け負うことになる。しかし、鬱蒼としたジャングルと過酷極まる悪路、そして南米の凄まじい天候は、4人の行く手を頑として阻むのだ。絶望に満ちた地獄の町から、地獄の様な道程を経て、炎の燃え盛る地獄へ。4人はニトロと言う名の恐怖を積んで、悪夢の旅を決行する。

いや、なにしろ、素晴らしい作品だった。40年前に製作されたとは思えない、今この現在でも十分に視聴に耐えるどころか、今現在でさえこれと同等のサスペンスとスペクタクルを再現することが可能なのかと思わされるほどの作品だった。いや、CG全盛の現代ではもちろん可能なのかもしれないが、しかし、作品に賭ける監督フリードキンの熱量が半端ではないのだ。

確かにフリードキンには前述『エクソシスト』等のヒット作があるにせよ、どことなく不世出の監督といったイメージがあり、そのフィルモグラフィもどうも一貫していない。しかし、永らく評価されていなかったこの『恐怖の報酬』は、まさに、紛う事なきフリードキンの最高傑作と呼んでもいいのではないか。

フリードキン版の物語展開はクルーゾー版を丁寧になぞりながらも、繰り返しになることを避け、様々な部分で省略や変更が成されていた。そしてなんといってもフリードキン版オリジナルの、映画ハイライトとなるあの吊り橋のシーンだろう。映画ポスターのビジュアルとしても使用されているが、このシーンにおけるフリードキンの演出は鬼気迫るものであり、永遠に続くかとさえ思ってしまう緊張に次ぐ緊張の展開は、映画史に残ってもおかしくはないのではないか。映画全般においても台詞は最小限に抑えられ、あたかもドキュメントを見せられているようなリアリティと迫真性が全編を覆っているのだ。

■フリードキン版『地獄の黙示録

今回の映画で気付いた国際版のカット部分は、(40年前の記憶を辿っての「おそらく」なのだが)、冒頭における4つの国の4人の主人公たちの過去を描く部分(ここでまず30分ほどあった)、そして、ラスト部分だろう。

国際版ではいきなり南米で食うや食わずの生活を続ける4人の描写から始まったのではないかと思う。これはクルーゾー版と同一であり、逆に、4人の男たちの出自を描く部分にフリードキン版のオリジナルがあったのだ。実はこの冒頭がなくても話は繋がるのだが、しかし、ここを描くことでより深く、血塗られた宿痾にもがき苦しむ4人の内面を活写することに成功しているのだ。また、この冒頭を用いたフラッシュバック・シーンも国際版ではカットされていたのではないかと推測する。

そして、もはや「改変」としか言いようのないあのラスト。オレはクルーゾー版とは全く違う国際版のラストも好きなのだが、このオリジナル版のラストを観てしまうと、まさにこれこそが『恐怖の報酬』に相応しい終わり方だと納得させられるのだ。そしてこれにより映画『恐怖の報酬』は、より凄惨な【地獄】の物語としての円環を閉じるのである。

製作に現在のレートで百億円もの資金を使いながら、密林におけるその撮影は難航を極め、撮影自体が「悪夢」のようであったという『恐怖の報酬』。これはフランシス・フォード・コッポラ監督の傑作映画『地獄の黙示録』撮影における熾烈な撮影状況と非常に似通ったものを感じる。欧米白人が異郷の第3世界で全く異なった環境の中に置かれ、打ちひしがれもがき苦しむ様は、どちらの映画内容にも共通し、さらにどちらの製作現場でも同様であった。この、まったく相容れない世界との衝突、さらに敗北、といった点においても、これらの映画作品は同等なのだ。映画『恐怖の報酬』は、フリードキンによる『地獄の黙示録』であったのかもしれない。

 

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映画『ムトゥ 踊るマハラジャ 【4K&5.1chデジタルリマスター版】』を観た

ムトゥ 踊るマハラジャ【4K&5.1chデジタルリマスター版】(監督:K・S・ラヴィクマール 1995年インド映画)

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■実は『ムトゥ』を今までちゃんと観ていなかった。

一時インド映画に猛烈にハマってしまい、 インドから大量のインド映画DVDを購入しては毎日憑りつかれたようにそれらを観続けていた時期があった。そして訳も分からないクセにその感想をブログに書き殴りまくっていた。当時は一部の方にオレといえば「インド映画の人」と認識されていたりもしていた。実の所、本当にインドやインド映画を心の底から愛している方は大勢おり、オレなんぞはそれらの方と比べるなら単なる冷やかしに過ぎなかったが。

そんな「なんちゃってインド映画ファン」のオレだが、実はある超有名作だけはちゃんと観ていなかったのである。なんとそれがこの『ムトゥ 踊るマハラジャ』だったのだ。

「ちゃんと観ていなかった」と書いたが、正確には「全部観ていない」ということなのだ。1998年、日本で公開されるや一大マサラムービー旋風を巻き起こし、当時の話題をかっさらった『ムトゥ』だが、映画ファンの端くれとして存在自体は認識していた。渋谷に行くと上映館であるシネマライズに主演女優を描いた巨大な看板が飾られていたのを何度も目にしていた。だが当時のオレは、この作品を単なる「キワモノ」だと思っており、興味こそあったが結局劇場で観ることは無かった。

その後レンタルビデオ店に並ぶようになったこの作品を、オレはようやく鑑賞することとなった。しかし映画が始まり、なにやら勇ましい音楽も、アクションシーンや歌と踊りにも、どうにも薄っぺらいものしか感じなくて、少しも面白く思えなかった。なにより主演のラジニカーントが、「単なるムッサイおっさん」にしか見えなかった。致命的だったのが画質の悪さだ。もやもやぼやぼやした画像からはひたすら貧乏臭いものしか感じなかった。オレは飽きてきて途中までしか観ていないビデオをレンタル店に返却した。

まあ要するに、出会いが不幸だったということだったのだろう。それから何年かして劇場でインド映画『チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ』(2009)を観る機会があったが、その時は素直に、インド映画独特の作品世界に驚嘆し、心底楽しい作品だと感じられたからだ。オレが本腰を入れてインド映画に傾倒し始めたのはそれからさらに先となり、2014年の事となるのだが、その頃から日本でレンタルできるラジニカーントの映画をぽつぽつと観るようになったのだけれども、そのどれもが実に面白く楽しめるものだった。とはいえ、結局のところ、この『ムトゥ』だけは、なぜか観る事がなかったのである。

■そしていよいよの『4K&5.1chデジタルリマスター版』登場。

そして今回の『4K&5.1chデジタルリマスター版』公開である。ああ、遂に来たか、とオレは思ったのだ。これはヒンドゥー神がオレに「いい加減そろそろ『ムトゥ』を観よ」と命じているのだな、と。オレはすっかり観念して、いそいそと劇場に足を運んだ。ちゃんとパンフレットも買って。

とまあそんな訳でようやく『ムトゥ』を観たのだが、率直に感想を述べるなら、「まあこんなもんかな」といったものだった。「ええと、面白く出来てるよ、でも、ラジニがこの作品の後に主演した『ボス その男シヴァージ』や『ロボット』のほうがもっと面白かったかな」と思ったし、「日本で一大ブームを築いた記念碑的作品として非常に重要だけれど、今はもっと凄いインド映画があるし、むしろそういった作品を一般に観られるようにしたほうがいいかな」とも思った。そして「あまりインド映画に馴染の無い方が今これを観てもそんなに楽しめないんじゃないかと思うし、あくまで回顧として観るのはいいけどこれがインド映画のスタンダードだと思われるのもちと辛いな」とすら思った。すまん。ファンの皆さん、大変すまん。

いや、決してこの作品をクサすつもりはない。物語の骨子は王道であるが故に古びるものではなく、勧善懲悪の在り方や秘められた出生の物語は非常に分り易く十分観客の心に訴えかけるものがある。ラジニカーントはどこまでも雄々しくあるいは茶目っ気たっぷりで、スターの貫禄たっぷりだ。ヒロインのミーナは今の基準でいうと古いかもしれないがしかし日本人観客には「エキゾチズム溢れた原型的なインド女優」と受け止められるだろう。さらにその気の強い性格は単なるお姫様女優ではないという意外性がある。

なにより歌と踊りは時代を超えて美しくひたすら煌びやかで楽しい。アクションは今のインド映画と比べると素朴なものだが、それでもクライマックスに於いて怒り心頭に達したラジニの鬼神の如き戦いには非常に興奮させられる。注意深く観るならここには非常に暗い情念と暴力性が秘められていることも感じられるが、これは南インド映画ではポピュラーなことだ。注目すべきはR.A.ラフマーンの音楽で、伝統音楽のように思わせて実は電子楽器が導入され、ブレイクビーツが聴こえてきたりもするモダンなものだ。当然ブラッシュアップされた映像と音響は鑑賞するうえでまるで問題ない。

だから、悪くは無いんだ。そして、観てよかった、とも思っている。今観なかったら、いつまで経っても観られなかったから。ただやはり悔しいのは、こうして今更のように観ている自分が、日本初上映時にこの映画に感嘆しファンとなった多くの方の盛り上がりに、見事に乗り遅れてしまった、その興奮を共有出来なかった、ということなのだ。返す返す、やっぱり出会いが不幸だったんだなあ、二人は恋人になれなかったんだなあ(?)と思えて仕方がない。


「ムトゥ 踊るマハラジャ(4K&5.1chデジタルリマスター版)」予告編

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2019年:お正月恒例伊豆シャボテン公園カピバラ詣で!

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お正月1月2日は相方さんと二人で恒例:伊豆シャボテン公園カピバラ詣でに行って参りました。この伊豆シャボ、お正月になると毎年行ってるんですよー。もう通いって言っていい程ですね!

この日も朝一番のスーパービュー踊り子号に乗って伊東を目指します。朝の電車のお楽しみはもちろん駅で買ったお弁当です!

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伊東駅に着いたら路線バスに乗って伊豆シャボテン公園へ。40分ほどのバスの旅になります。

伊豆シャボに到着したらまずカピが放し飼いになっている「虹の広場」へ。そしてたくさんのカピたちとご対面!冬場でそれなりに寒いのでカピたちはくっつき合って暖をとっています。

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「今日も寒いなあ」

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なぜか一匹だけ木の切り株の上に座って「ぬ~ん」としているカピ。

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でもお客さんのが差し出す葉っぱのご飯を見つけると三々五々「ご飯ちょうだい!」と追っかけまわし始めるカピ!

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そんなカピたちを愛でるオレ!

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続いて伊豆シャボ名物・元祖カピバラ温泉のコーナーへ。

みなさんすっかりご機嫌です!

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動画もたくさん撮ったのでご覧になってください。温泉でまったりヌクヌクするカピののほほんとした動画ばかりですが、実は(その4)では「温泉を独り占めしたくて他のカピを追い出すカピ」なんてびっくりな動画になっています。


2019年:伊豆シャボテン公園 カピバラ温泉 (その1)


2019年:伊豆シャボテン公園 カピバラ温泉 (その2)


2019年:伊豆シャボテン公園 カピバラ温泉 (その3)


2019年:伊豆シャボテン公園 カピバラ温泉 (その4)

お昼ご飯は「ギボン亭」でカピバラバーガー、「カピバーガー」を食べました!

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この「ギボン亭」、結構広いレストランなんですが、なんとテーブル一つに一体の大きなカピバラさんぬいぐるみが座らされていて圧巻でした。

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これに限らず伊豆シャボテン公園ではなにしろカピバラ推しみたいで、グッズコーナーもカピバラだらけでしたが、公園の表示にもカピバラが使われているんですね。まずこちらがゴミ箱に描かれたカピ。

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そしてこちらはトイレの表示になっているカピ!

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もちろんシャボテン公園にいるのはカピだけではありません。他の動物もたくさんいてそれぞれ思い思いに動き回ってましたよ。

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そんな感じで伊豆シャボをのんびりとぐるぐる回り、思いだした頃にまたカピと遊んで動物園を満喫していました。でもさすがに日が傾いて3時を過ぎ4時になる頃には動物園も結構寒くなってきて、カピたちも寝床に帰りたそうにしていました。そういえばカピバラ舎には生まれたばかりの二匹の仔カピがおりましたよ。

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というわけで時間もやってきて今年最初のカピ詣ではおしまい。グッズコーナーではカレンダーやステッカーやマグネットなどたくさんのカピバラグッズ、さらにサボテンまで購入して帰り、ホクホク顔のオレでありました!

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「また来るといいヌ~ン」

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(おしまい)